IBMやCisco Systemsなど大手コンピューティング企業が提携し、より一般的なイーサネットネットワーク上で動作するファイバチャネル技術の開発を進めている。
ファイバチャネルは、ストレージエリアネットワーク(SAN)でサーバとストレージ機器を接続する方法としてハイエンドユーザーによく知られている技術である。しかし、ファイバチャネル接続を実装するには、別個にファイバチャネルケーブル、ネットワークスイッチ、およびサーバアダプタカードが必要で、同技術に精通した管理者も必要になる。
「Fibre Channel over Ethernet(FCOE)」に向けて提携した企業の1つであるEmulexのワールドワイドマーケティング担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるMike Smith氏によると、ファイバチャネルを一般的なイーサネット技術に組み込むことにより、提携企業らはその適用範囲を拡大することを目的としているという。
「ファイバチャネルは好きだが、SANで接続されたストレージの適用範囲を拡大するための異なる方法を求めている、というユーザーが多く存在する」とSmith氏は述べた。同様の目的から誕生した技術に「iSCSI」があるが、Smith氏によると、FCOEの方が高速で信頼性も高くなる予定であるという。
業界に影響力を持つ複数の企業が、同技術を開発するためにファイバチャネル規格グループ内にワーキンググループを発足した。この動きを「主導しているのはCiscoとIBMの2社」で、その他にEmulex、Intel、Sun Microsystems、Brocade、QLogic、EMC、そして、Ciscoが資金を提供する新興企業Nuova Systemsが参加している。
Smith氏によると、同規格の最初の草案は6カ月以内、最終版は18カ月以内に作成する予定だという。「2009年のうちには製品が発表されることを期待している」と同氏は付け加えた。FCOEが使用する予定の10Gbpsイーサネットを採用したメインストリームサーバが登場する時期に合わせた計画となっている。
FCOEとiSCSIの主な相違点の1つは、経路選択やデータパケット送受の確認において、iSCSIは、インターネット自体が使用するのと同じ規格であるTCP/IPというより高レベルなネットワーク技術を使用するのに対し、FCOEは独自の技術を採用しているという点である。
Smith氏によると、FCOEでは、ユーザーが既存のSAN管理ソフトウェアを再利用することが可能となる予定だが、サーバには新しいアダプタカードが必要になるという。FCOEのサポートが、サーバの標準コンポーネントになるか、10Gbpsイーサネット対応のネットワークアダプタの標準コンポーネントになるかはまだ明らかになっていない。
同氏は、従来のファイバチャネルが同技術のイーサネット版に置き換わることはないと付け加えた。「しばらくの間、市場にはどちらも存在することになると思う」とSmith氏は述べた。
同氏によると、現行の4Gbpsのファイバチャネルは、8Gbps版に置き換わる予定で、規格グループは16Gbps版も開発中であるという。16Gbps版は2012年ぐらいまでは登場しないだろうと同氏は述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ