ウィンドウ毎のメモリ使用量を50%削減--Windows 7カーネル強化のポイント

杉山貴章(オングス)

2009-08-31 20:07

 「Windows 7は速い」と噂されている。実際にWindows 7 RC版を使ってみても、Windows Vistaと比べてパフォーマンスが大幅に向上していることを実感できる。では、Windows開発チームはどのようにしてこのパフォーマンス向上を実現したのだろうか?

 MicrodoftのSenior Software Development Engineerである中原大介氏は、8月26日に開催された「Tech・Ed Japan 2009」のテクニカルセッションで、カーネルに関連する部分でのパフォーマンス改善のポイントを解説してくれた。

詳細な分析に基づくパフォーマンス改善

 まず、パフォーマンスの鍵となるOS全体のリソース使用量についてだが、詳細な分析を元に「Footprint Reducation」として徹底的な削減を実施したという。ディスクやメモリ使用量、ファイルサイズなどを始めとして実に400項目以上の削減を行った結果、「長いWindowsの歴史の中で初めてOSが小さくなっている」(中原氏)のがWindows 7なのだそうだ。

Footprint Reducationにより小さくなったWindows(画像をクリックすると拡大します) Footprint Reducationにより小さくなったWindows(画像をクリックすると拡大します)

 メモリ使用量に関しても大きく改善されている。中原氏によれば、Desktop Window Managerのアーキテクチャを見直すことで、ウィンドウごとのメモリ使用量を約50%も削減できているそうである。また、レジストリをMemory Mapped FileからPaged Poolに変更することで大幅なパフォーマンスの向上を実現したとのことだ。

 また、ワーキングセットも見直され、システムキャッシュとPaged Pool、システムコードがそれぞれ個別のワーキングセットで管理されるようになった。これによって各プロセス間の影響を最小限に抑え、それぞれのメモリ使用量に応じた最適化が可能になったという。

中原大介氏 中原大介氏

 上記はユーザからは見えない部分、すなわちバックグラウンドで動いているシステムにおけるパフォーマンスの改善である。ユーザから見える部分、つまり実際にユーザーが体験するパフォーマンスについてはどうだろうか?

 この点については、まず300以上のエンドユーザーシナリオを選定し、膨大な量のサンプルを用いて実際のパフォーマンスを計測。その結果を元にそれぞれのシナリオ毎にパフォーマンスのゴールを設定して改善を加えるというアプローチを取った。

 データはカスタマエクスペリエンスプログラムを通して収集しており、リリース間近となった現在も改善を進行中だそうだ。

パワーマネージメントは「Keep idle and stay idle」

 パフォーマンスと並んでWindows 7、Windows Server 2008 R2の大きなポイントとなっているのがパワーマネージメント機能の向上である。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  2. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

  3. セキュリティ

    経営陣に伝わりづらい「EDR」の必要性、従来型EDRの運用課題を解決するヒントを解説

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    中小企業のDX奮闘記--都市伝説に騙されずに業務改善を実現したAI活用成功譚

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]