Linuxプロジェクトの利害調整は「面白さ」感じる--L・トーバルズ氏

富永恭子(ロビンソン)

2009-11-05 14:09

850人が押し寄せた「第1回Japan Linux Symposium」基調講演

 「18年前、一人の人間が、一つのOSを作リ始めました。それはいまや500億ドル規模の産業に発展しています。それがLinuxであり、彼がそれを作りだしたLinus Torvalds氏です」

 そういって、Linux FoundationのエグゼクティブディレクターであるJim Zemlin氏は演台の袖を示した。

 Zemlin氏の招きに応じて、グリーンのポロシャツにジーンズとスニーカーというカジュアルな「オープンソーススタイル」の男性が壇上に登った。日本人とさほど変わらない背丈、北欧系らしい金髪と碧眼、いくぶん恰幅よく、貫禄が現れた体型にシャイな笑顔――彼こそがLinuxの創始者、Linus Torvalds氏だった。

 2009年10月21日から23日にかけて開催された「第1回Japan Linux Symposium」は、この二人の対談で幕を明けた。初日の基調講演が開かれたANAインターコンチネンタルホテル東京の大ホールには、850人もの参加者がTorvalds氏の話を聞くためにつめかけていた。

 「あなたは」――と、Zemlin氏が口を開いた。

 「初めてLinuxを作ったとき、これほど大きなプロジェクトになると思いましたか?」

 「いいえ」とTorvalds氏は即答した。「このような将来を計画していたわけではありません。当時の私は、一人の開発者に過ぎませんでした。それに、もし現在の状況を予想していたなら、あまりにも巨大なその規模に圧倒されてしまい、プロジェクトを始めることさえしなかったと思います」

対談するLinus Torvalds氏(左)とJim Zemlin氏(画像をクリックすると拡大します) 対談するLinus Torvalds氏(左)とJim Zemlin氏(画像をクリックすると拡大します)

Linuxが持つ独自の文化

 オープンソースプロジェクトとして、世界中のボランティアを集めて急速に成長したLinuxは、今やさまざまな産業領域で活用されている。

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