マイクロソフトは3月12日、東京都内にて仮想化をテーマとしたイベント「Microsoft Virtualization Summit」を開催した。基調講演では、Microsoft 仮想化&プライベートクラウド担当ディレクターのRadhesh Balakrishnan氏が、同社の仮想化戦略や製品について説明した。
Balakrishnan氏はまず、ユーザーがIT環境で求めていることについて、デスクトップからデータセンターまで物理環境と仮想環境を一元管理したいと考えていることや、既存のIT投資を最大限有効活用したいと考えていることなどを指摘し、「Microsoftでは、仮想化を採用した場合も今までのITインフラを十分活用できるよう考慮した技術を提案している。これまでの投資を保護しつつ、企業の俊敏性と継続性を高めるのがMicrosoftの仮想化戦略だ」とした。
Balakrishnan氏は、Microsoftの仮想化で統合管理が実現できるとした上で、デスクトップとサーバの両視点から仮想化を語った。
まずデスクトップ仮想化の分野では、「場所を選ばずどこでもアクセスできることや、セキュリティが確保されていること、またビジネスの機敏性と継続性が求められている一方で、管理者はエンドツーエンドの管理ができることを求めている」とBalakrishnan氏。中でも、データのコンプライアンスが重要視される場合は、ポリシー管理が一元化できるVDI(Virtual Desktop Infrastructure)が最適だとBalakrishnan氏は述べ、Citrix Systemsなどパートナーとの協業でVDIを提供しているとした。
また、アプリケーションの互換性を重視する場合は「Microsoft Application Virtualization(App-V)が最適だ」とBalakrishnan氏。AppVを使えば、「1つのデスクトップ上で新しいアプリケーションと古いアプリケーション、例えばメインフレーム用のアプリケーションなどもストリーミングで利用できる。Excelの2003と2010といった異なるバージョンを同時に走らせることも可能だ」とBalakrishnan氏は説明する。
一方、サーバの仮想化についてBalakrishnan氏は、「5〜6年ほど前、データセンターのインフラ稼働率は15%以下となっていた。リソースの無駄をなくすために仮想化が注目され、そのための管理製品も充実してきた。インフラ稼働率が改善された今、今後のデータセンターではクラウドが求められている」と述べた。
Balakrishnan氏は、Microsoftがプライベートクラウドとパブリッククラウドの両分野に対応していると説明する。そして、「プライベートクラウドとパブリッククラウドは将来的に一緒になるかもしれないが、Microsoftの技術を利用していればどのレイヤにおいてもベースとなる技術は同じなので、これまでの投資が保護できる」と述べた。
基調講演には、日本仮想化技術の代表取締役社長 兼 CEO、宮原徹氏も登場した。同氏によると、仮想化環境への移行に際しては、ユーザーからの懸念として性能が落ちるのではないかという声があるというが、「MicrosoftのHyper-V 1.0と2.0の性能を比較したところ、約47%性能が向上していた。このベンチマーク測定後に、Intelのハイパースレッディング技術を活用したケースを見ると、さらに性能が上がっていた。今後のハイパーバイザは、こうしたハードウェアの技術も引き出していくことが重要となるだろう」とした。