「Windows Vista」は、Microsoftの製品の中で最もセキュリティの高いOSかもしれないが、同OSの「Windows SideBar」やガジェットはセキュリティ上の脅威にさらされる危険性がある、とSymantecは述べている。
Symantecが米国時間2月28日に発表した調査報告によると、最も危険性の高い脅威は、Microsoftの新OSであるVista向けに設計されたサードパーティー製アプリケーションであるという。Microsoftがセキュリティ機能の強化を図るようになったため、Symantecは現在同社と競合する立場にある。
Symantec Security Response Centerのディレクターを務めるOliver Friedrichs氏は、Microsoftが2007年1月にリリースした一般ユーザー向けVistaについて、「サードパーティー製アプリケーションが相変わらず、最も危険にさらされやすい部分である。Microsoftは、中核となるOSをしっかりと保護しているが、サードパーティー製アプリケーションは保護されていない」と述べた。
サードパーティー製アプリケーションのセキュリティが弱いことは新しい問題ではないが、攻撃者らはOSを避けて、アプリケーションスタックを狙う傾向にあるとFriedrichs氏は述べた。
Symantecの調査によると、2006年の前半6カ月間に検出された新しいセキュリティ脆弱性の78%が、ウェブアプリケーションで発見されたものであるという。今日、脆弱性の大部分はPHP、Python、Perl、ASPなどの言語に発見されているが、Windows Vistaはその部分に対してはセキュリティを強化していないと同社は述べた。
Friedrichs氏は、「Microsoftは、過去の問題は解決したが、セキュリティ上のリスクを完全に排除したわけではない」と述べた。
Microsoftの広報担当者は、Windows Vistaは同社の今までのOSの中で最もセキュリティの高い製品だが、そのセキュリティ機能は、個々の機能をとっても機能全体をとっても、コンピュータセキュリティに対する「特効薬」として設計されているわけではないと述べた。
同広報担当者は、「セキュリティとは選択をすることである」と述べ、「制限を厳しくすると、ユーザーは処理を実行するためにソフトウェアともっとやりとりしなければならなくなる。反対に、制限を緩くしたデフォルト設定を設けてユーザーの使いやすさを優先すると、システムが攻撃を受ける可能性は高くなる」と語った。
「(Symantecの)調査結果は、Windows Vistaのセキュリティ技術の多くにはさまざまなオプションが提供されており、ユーザーが自分の判断で選択できるようになっている事実を正しく述べていない」と同氏は付け加えた。
Vista自体については、Symantecは、Windows SideBarとガジェットがユーザーにセキュリティ上のリスクをもたらす危険性があるとしている。ガジェット、つまりツールは、スタティックなHTMLとスクリプトを用いて、開発者が容易に、時計や電卓アプリケーションなどの新しいプラグインをWindowsデスクトップに作成できるようにするものである。
ガジェットは自動的には実行されないが、自動的にインターネットを介して通信することができるため、攻撃者の標的になるのではないかとSymantecは懸念している。
Symantecはまた、Vistaの新たなメモリ技術「Address Space Layout Randomization」(ASLR)は、プログラムをメモリ上にランダムにロードすることにより、サービス拒否(DoS)攻撃を減少させようとしているが、その処理はSymantecが期待するほど安全ではないことを発見した。
Friedrichs氏は、「アドレスのランダム性は、われわれが期待するほど高度でないことがわかった」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ