「Windows XP」の違法コピー対策は付け焼き刃程度に過ぎなかった。だが、「Windows Vista」は、違法コピー対策を最初から視野に入れて開発されてきた。
Vistaでは、小売販売版のユニークなパッケージ(一カ所角が丸くなったプラスチック製の箱)もある程度偽造阻止を念頭に置いてデザインされている。だが、このパッケージングはほんの手始めに過ぎず、Microsoftの著作権侵害対策は同ソフトウェア本体に内蔵されていて、コードをコピーしてプロダクトキーを入手するだけでは不十分になっている。
MicrosoftのGenuine Software Initiative担当ディレクターCori Hartje氏はインタビューのなかで、「偽造者は、これまでの手法が使えない。同製品には全面攻撃を仕掛けざるを得ない」と語っている。
このような手法の1つが「フランケンビルド」と呼ばれるもので、これはWindows Vistaに組み込まれたチェックをすり抜ける目的で、同ソフトウェアのベータ版と最終製品を少しずつ合成していることからそう呼ばれる。しかし、Vistaが搭載する技術のおかげで、Microsoftは防護対策をアップデートし、最初にアクティベーションテストに合格したシステムでも、該当するものは違法として切り分けられるようになった。
Microsoft社内では著作権侵害対策への取り組みが徐々に拡大している。Microsoftでは、「Windows Genuine Advantage」プログラムのテストを2004年に密かに開始した。このときはオプションのチェック項目があり、参加するメリットもないが、不合格マシンへの罰則もなかった。そこで同社は、同プログラムをすぐに拡大し、確認済みのマシンには特典を与えるようにしてきた。同社はその後、Windowsの大半のアップデートやアドオンのダウンロード時にはこのチェックを必須とした。
著作権侵害率が比較的高い新興市場で過去最高のPC売上成長が見込まれるなか、Microsoftでは著作権侵害率の低減を売上拡大手段の1つととらえている。
Vistaでは、著作権侵害のチェックが当初から計画に盛り込まれていた。Vistaに搭載された技術により、OSの正当性は、アクティベートする際のプロダクトキー入力時だけでなく定期的に確認できるようになる。