IBMの東京セキュリティオペレーションセンター(SOC)はこのほど、コンテンツ管理システム(CMS)の脆弱性を悪用する攻撃を多数確認していることを明らかにした。CMSは、ブログやWiki、掲示板などのコンテンツの登録や更新を総合的に管理するソフトウェアの総称。
CMSを利用したウェブサイトでの代表的な被害事例には、SQLインジェクションによるデータベース情報の漏洩や、リモートからコマンドを実行されて不正なツールをインストールされるなどが挙げられ、多い日には1日に2万件もの攻撃を検知しているという。特にフリーで公開されているCMSが狙われる傾向にあるとしている。
6月9日頃からは、フリーのCMS「e107」の0.7.20以前に存在する脆弱性を標的とした攻撃を多数確認しているという。この攻撃は、GoogleやYahoo!などの検索サイトを利用して攻撃対象とするウェブサイトの一覧を作成し、これらのサイトに対し特殊なHTTP POSTリクエストを送信することでボットに感染させる。
感染したボットは、攻撃者の準備したIRCサーバに接続し、攻撃者の命令を待ち受けボットネットに加えられる。2010年には「DedeCMS」や「Joomla!」などのCMSが多く狙われており、「WordPress」や「XOOPS」など有名なCMSも攻撃対象となっている。東京SOCでは、利用しているCMSの脆弱性情報を収集し、定期的なバージョン管理を忘れないよう呼びかけている。