CNET News.comが入手した情報によると、今週リリースされるAdobe SystemsのPDFファイル閲覧ソフトウェアのバージョン7が、再びLinuxに対応するという。
Adobeは、オランダに居住するユーザーの税申告期限に間に合うように、2005年3月にLinux版「Adobe Reader」の先行版ダウンロードを提供開始していた。そして同社は米国時間11日、バージョン7.0用アップデートの最終版リリースの準備が整ったことを認めた。
Adobeは、米国時間12日にLinux版バージョン7を発表し、同社のウェブサイトからダウンロードできるようにする予定だ。なお、Microsoft Windowsに対応したAdobe Readerのバージョン7.0は2004年11月に発表されている。Adobe Readerは、PDF(Portable Document Format)形式のドキュメントを読んだり、印刷したりするためのソフトウェアで、新版ではフォームに書き込みができるようになるという。
Adobeは、出版関連作業を自動化したり、ドキュメント管理を支援したりするサーバ製品においてはLinux版を提供しているが、「Photoshop」や「Illustrator」など、同社の主要なデスクトップ向け製品はLinuxに対応していない。しかし、同社は2004年からデスクトップ向け製品でもLinuxを意識するようになり、Linuxコンソーシアムに参加して、オープンソース業務に従事させるスタッフも雇用した。Adobe Readerの新しいバージョンは、こうした動きが結実したものと言える。
AdobeのIntelligent Documents部門マーケティングバイスプレジデントEugene Leeは、「特に政府機関や金融機関において、企業のLinuxオペレーティングシステム(OS)採用率は、国際的に高まりつつある」と述べている。「中核的なエンタープライズアプリケーションのサポートをデスクトップ上で始めた顧客は、Adobe Reader 7.0がLinux上で稼働することを求めている」(Lee)
Linux製品の販売でトップに立つRed HatやNovellは、当然ながら今回のAdobeの動きを支持している。Red HatおよびNovellは、LinuxをPCに採用することを推奨している企業だ。PC向けのOS市場では、MicrosoftのWindowsが圧倒的シェアを誇っているが、ウェブブラウザの「Firefox」や、OpenOffice.orgのデスクトップソフトウェアスイートに人気が集まるなど、Windowsの牙城を切り崩そうとする動きも見え始めている。
Adobeは、2001年にリリースしたReaderのバージョン5をLinuxに対応させたが、2003年リリースのバージョン6では、Linux対応を中止していた。2005年1月、同社はバージョン7を再びLinux対応とすると発表し、ベータ版のテストを始めた。
Adobeは9日に、ベータ版のテスターに、Readerの正式リリースの準備が整ったことを伝えていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ