ビジネスソフトウェアメーカーSAPは、同社のCRM(Customer Relationship Management)ソフトウェアのオンデマンド版を新たに開発する計画に対して、これまでとりわけ慎重な態度を保ってきた。
そうした計画の存在を示す出来事や業界の噂は数多くあったものの、SAPは現時点では同計画の存在を認めていない。それでも、ホスティング型CRMの第一人者であるSalesforce.comをはじめSAPの競合企業各社は、同社の動きとその思惑を注意深く見守っている。
SAPがオンデマンドCRM市場に参入すれば、業界の力関係は短期間のうちに変容してしまうだろう。近年この分野ではSalesforceが急速に売上を伸ばしており、同社の発表によれば、2005会計年度の売上は1億7600万ドルを超えたという。Salesforceは今や、オンデマンドビジネスアプリケーションの代名詞となっている。
だが、Salesforceのこうした成功は、SAP製品と競合することなく遂げられたものだ。ビジネスソフトウェア市場におけるSAPの影響力は非常に大きく、その売上は17億ドルを上回っている。
専門家らも、他社がオンデマンドCRMに関する契約を次々に獲得していくのを、SAPが指をくわえて見ているはずがないと指摘する。
AMR ResearchのアナリストBruce Richardsonは、「SAPは、SiebelやSalesforceといったCRM分野の大手企業の動向を注視して、顧客が購入したい、もしくはレンタルしたいと考える導入モデルをすべて自分のものにしようともくろんでいる」と話している。
当のSAPは、市場の可能性に関する調査は引き続き行うが、新たなホストCRMソフトウェアを近日中にリリースする予定はないと、公式発表で述べている。SAP AmericaのCEOであるBill McDermottも、同社が5月にボストンで開催したSapphireユーザーカンファレンスにおいて、SAPが新製品開発に乗り出す必要性は薄いと発言していた。
「ホスティングが適しているのは、小規模なビジネス環境だけだ。Salesforceも、SAPがすでに提供しているような統合製品を市場に投入しているわけではない。Salesforceには、新しく獲得したCRMユーザーが、より多くの機能を求めるようになった場合、彼らはSAPに乗り換えようとするのではないかという質問をぶつけてみたい」(McDermott)
SAPは、顧客に対しては、CRMアプリケーションを自社で運用/管理するサービスをすでに提供しているが、既存のエンタープライズソフトウェアアプリケーションをホスティング用に書き直したものを発表していない。
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