BIツール大手のSAPジャパンは2006年末、営業担当者など現場の実務担当者に向け、同社のEAI(アプリケーション統合)ツール「NetWeaver」などを機能拡張する。企業内の基幹業務システムからその都度データを吸い上げてリアルタイムに業務の意思決定に役立てられるようにする。この概念を同社は「SAP Analytics」と呼ぶ。
SAP Analyticsを実現するために機能を拡張するソフトは、ダッシュボードを実現するポータルソフトの「SAP EP」と、ポータル上のデータ分析アプリケーションをエンドユーザーがビジュアル開発するためのソフト「NetWeaver Visual Composer」である。これに加え、企業内データを活用するための100種類のテンプレートを新規に出荷する。
従来のBIツールが対象としていたユーザーは、経営者や経営企画部門など、過去のデータを分析して経営指針を立案する立場のユーザーである。システムとしては、基幹システムからバッチ処理でデータを一括してデータ・ウエアハウス(DWH)に吸い上げていた。DWHを元に、データ・マイニングで傾向を調べたり、OLAPソフトの多次元キューブで企業活動全体を分析していた。
一方、SAP Analyticsでは、データ・ウエアハウス(DWH)などの静的な情報系システムではなく、業務のトランザクションが常時発生している基幹業務システム上にある生のデータを分析の対象とする。個々の業務システムから必要なデータをリアルタイムに抽出し、ポータルソフト上でダッシュボード形式でデータを表示し、アクションの結果をシミュレートする。ある製品を割引して売ってもいいかどうかなど、現場の実務担当者の日々の意思決定に役立てるのが狙い。
NetWeaver Visual Composerは、データを必要とするエンドユーザーがシステム知識を必要とすることなくアプリケーション画面を作成するためのデザインソフトである。マウスによるドラッグ・アンド・ドロップで、ポータル用のアプリケーションを構築できる。