欧州委員会は、オープンソースソフトウェアを熱烈に支持した報告書を発表した。これは「Linux」やフリーソフトウェアの導入を検討する企業への強力な後押しとなる。
オープンソースソフトウェアをビジネスで導入することに関する報告書の全文が先週後半に発表された。欧州委員会はその報告書の中で、「ほとんどすべての場合において」プロプライエタリソフトウェアからオープンソースソフトウェアへと移行することによりコストを削減できると記述している。
この調査結果は、Linuxを使用すればコストが削減できるというのは根拠のない話だとするMicrosoftの主張とは極めて対照的なものだ。
欧州委員会の調査は、6つの欧州連合諸国におけるオープンソースプロジェクトの詳細な分析に基づいている。
「われわれの調査結果から、オープンソースへの移行によりほとんどすべての場合において、長期的な所有コストの削減が得られることがわかった」と、オランダのマーストリヒトにある国際連合大学の研究者らにより作成された報告書には記されている。
Microsoftは、同社の「Get The Facts」キャンペーンを通じてIT専門家や企業に対し、「Windows」を利用する方がLinuxよりもコスト面で有利になり得ると主張してきた。Get The Factsでは、Microsoftのソフトウェアが、オープンソースソフトウェアよりもコスト的に有利であった例を挙げていた。
欧州委員会による報告書ではさらに、無償のアプリケーションスイート「Open Office」を検討する組織に対し、その導入を推奨している。「Open Officeは、公的機関が文書、スプレッドシート、プレゼン資料を作成するために必要となるすべての機能を持つ」と報告書には書かれている。報告書は「Open Officeは無償で、かつ非常に安定している」とし、Open Officeを使用してもプロプライエタリソフトウェアを使用する場合とユーザーの生産性は変わらないと付け加えている。
しかし報告書は、2点の注意事項を挙げている。まず1点目は、オープンソースへの移行中は、部分的な導入であっても、組織の短期的なコストは増加すると述べている。主にトレーニングにかかる初期コストのためだという。2点目としては、フリーソフトウェアの使用を指示されることで過小評価されていると感じる従業員がいるかもしれないと記している。
欧州委員会は、オープンソースソフトウェア開発の促進に向けて、いくつかの行動をとってきた。
2006年10月には、SQO-OSSというオープンソースソフトウェアの品質を検証するプロジェクトに300万ユーロ(200万ポンド)を出資している。また数日前には、アプリケーション間の相互運用性の向上を目的とした欧州委員会のオープンソースウェブポータルであるOpen Source Observatoryを拡張した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ