Adobe Systemsの開発者グループのある幹部によると、同社はウェブベースのアプリケーションがますます強力になるのに対応して、オンラインの「Office」形式のアプリケーションを作成するよりも、開発プラットフォームの提供に力を注ぐという。
Wiredは先週、Adobeでプラットフォームエバンジェリズム担当のグループマネージャーを務めるMike Downey氏の発言を引用し、Adobeがウェブベースの生産性アプリケーション市場に参入するかもしれないという記事を掲載した。
Downey氏は米国時間8月17日に取材に応じ、Adobeは、より高度なウェブアプリケーションを記述するための基盤となるプラットフォームの構築に同社のリソースを注ぎたいと考えていると述べた。
Adobeの「Flash Player」はウェブ上で広く使用されており、同社のAIR(開発コード「Apollo」)はウェブ開発者がデスクトップアプリケーションを作成するためのものである。
Downey氏は、「われわれの第一の目標は、開発者らが優れたウェブベースアプリケーションを開発するためのプラットフォームを構築することである」と述べた。「堅牢で強力なこの種のウェブアプリケーションの構築に対し、AIRは理想的なプラットフォームだ」(Downey氏)
Adobe自体も、AIRを用いていくつかのアプリケーションを作成している。同社が2007年に入って発表した「Adobe Media Player」は、インターネットビデオを視聴するためのものである。Downey氏によると、同製品はアプリケーションであるが、Adobeは、同社が提供するプラットフォームのメディアプレーヤーに関する部分を用いて、サードパーティーがこれをカスタマイズすることができると考えている。
同時にAdobeは、「Microsoft Office」に対抗するオンライン版になり得る高度なウェブアプリケーションを記述する新興企業らを支援している。
Adobeは、同社の開発ツール「Flex」を利用して高度なオンラインワープロを作成する企業Virtual Ubiquityに出資している。「Buzzword」という名称の同アプリケーションは、「Flash」上で動作し、将来的にはAIR上でも動作する予定である。
他にも、ウェブベースのプレゼンテーションアプリケーションである「SlideRocket」など、Flashを利用したオンライン生産性ツールが存在するとDowney氏は述べた。
またAdobeは、同社の既存の製品ラインにおいてもAIRを活用する方法を模索している。
同氏は、「われわれがAIRを開発した主な理由の1つは、その技術を利用してAdobeが新しいアプリケーションを構築したいからである」と述べた。
現在はベータ版が提供されているAIRは、2008年第1四半期に正式版が提供される予定である。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ