Googleは、同社初のパートナー無線事業者であるT-Mobileをなだめるために、Android向けアプリケーションストアのAndroid Marketplaceからテザリングアプリケーションを削除したようだ。
「携帯電話にインターネットのような革新と開放性をもたらす」とGoogleが豪語するAndroidは、Googleのパートナー通信事業者、今回の場合で言うとT-Mobileのサービス規約に反するアプリケーションはサポートしないようだ。「Wi-Fi Tether for Root Users」と呼ばれる問題のアプリケーションを開発したSeth氏が米国時間3月31日に語ったところによると、GoogleからAndroid携帯電話を販売する唯一の無線通信事業者T-Mobileはテザリングを許可していないと指摘を受け、アプリケーションがAndroid Marketplaceから削除されたという。
テザリングとは、携帯電話をMacやPCに接続し、モデムとして使用することを指す。一部の携帯電話事業者は、追加のデータプランの購入を条件にテザリングを認めているが、他の事業者は禁止している。テザリングを禁じている事業者は、パソコンを介したデータの送受信が無線ネットワークに過度な負担をかけることを懸念している。しかし、AT&Tなど一部の通信事業者は追加料金さえ支払えば問題ないとする。
またGoogleがテザリングアプリを明確に拒絶する理由も分かりにくい。というのは、Android携帯電話はいずれ世界中の通信事業者が入手可能になる予定で、その中にはテザリングを認めている事業者もあるからだ。また、T-Mobile G1のロック解除版は全てのネットワーク上で利用可能だ。
Googleは、特定の通信事業者向けのAndroid Marketを作り、アプリケーションによって認められたり認められなかったりするような設計を考えているのだろうか。モバイル業界では、それもごく当たり前のことかもしれないが、「オープン」の厳密な定義からは外れることになる。
無線通信事業者は長年、この業界の革新を抑制する勢力だとして、公正あるいは不公正な形で非難されてきた。Googleが最初に構想したAndroidが2007年に発表された際のプレスリリースを読む限り、Androidは、それらの壁を崩し、無線事業者や無線機器メーカーが顧客に、より優れた、よりパーソナルな、そして、より柔軟なモバイルエクスペリエンスを提供できるようにするための前例のないモバイルプラットフォームになるはずだった。
Googleはこれまで、 真にオープンなプラットフォーム作りと、互換性の条件を満たしつつも通信事業者間の関係のバランスを取る必要性との間の葛藤と戦ってきた。同社に、問題のWi-Fiテザリングアプリケーションについてコメントを求めたが、回答は得られなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ