ロサンゼルス市、「Google Apps」の正式採用を検討中

文:Elinor Mills(CNET News) 翻訳校正:湯木進悟

2009-08-21 08:20

 ロサンゼルス市の最高情報責任者(CIO)であるRandi Levin氏は米国時間8月11日、情報テクノロジ委員会の公聴会の席で、ロサンゼルス市がオンラインアプリケーションスイート「Google Apps」を採用すべき根拠を、市議会議員に対して力説した。

 Levin氏は「時間やデバイス面での制約に縛られることなく、市当局が必要とするあらゆる情報を入手できるようにすることは、市の働きを大きく変化させるものとなり、非常に生産性を高めるものとなるだろう。財政危機において、こうした目的を達成するテクノロジソリューションを、大幅に資金を取り分けることなく節約を図りながら見出すことは容易でない」と述べた。

 セキュリティ面での懸念が、これまで多くの政府機関や大企業にGoogle Appsの採用を見送らせてきた。だが、それも変わりつつある。米国内の小さな都市では、Google Appsを採用するケースが増えてきており、複数の連邦政府機関でも試験的にGoogle Appsの利用が進んでいる。もしロサンゼルス市が採用を正式に決定すれば、コロンビア特別区とともに、米国の行政機関では最大規模の採用事例となるだろう。

 往々にして他の州や連邦政府機関のセキュリティ専門家らは、外部の企業に対して、非常に機密性の高いデータの保存管理を委託することに及び腰である。

 ロサンゼルス市の方針に関しても、反対意見の説得が必要不可欠となってきた。議員で情報テクノロジ委員会の一員であるTony Cardenas氏や、ある警察当局のトップは7月に、警察の捜査に関わる重要機密データが何らかの形でGoogleの統制下に置かれるならば、その漏洩が大いに懸念されるとまくし立てた。Cardenas氏はAssociated Pressに対して、「現在警察で進められている捜査の内容をつかむため、麻薬カルテルは金を惜しまないだろう」と語っている。

 こうした懸念は、とりわけTwitterの社員の電子メール管理に問題があり、Yahooの簡単なパスワードリセットメカニズムの裏をかいて、Google Appsに保存されていたTwitterの複数の機密ドキュメントへとハッカーがアクセスした事件によって浮き彫りにされた。

 この事件の本質は、Google Appsのセキュリティレベルに何ら疑問を投げかけるものとならないものの、クラウドコンピューティングサービスについて見直そうとする動きを誘発するものとなった。

この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  2. セキュリティ

    サイバー攻撃の“大規模感染”、調査でみえた2024年の脅威動向と課題解決策

  3. セキュリティ

    従業員のセキュリティ教育の成功に役立つ「従業員教育ToDoリスト」10ステップ

  4. セキュリティ

    IoTデバイスや重要インフラを標的としたサイバー攻撃が増加、2023年下半期グローバル脅威レポート

  5. セキュリティ

    急増する工場システムへのサイバー攻撃、現場の課題を解消し実効性あるOTセキュリティを実現するには

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]