プロプライエタリが勝てない理由
OSSとプロプライエタリソフトウェアを比較した研究として同氏が紹介したのは、個々の開発者に注目し、ある個人がプロジェクト全体に対してどの程度の貢献を行ったかを測定したカーネギー・メロン大学での例だ。
この調査では、開発者一人一人について、その開発者が書いたコード、変更したコードの行を数えていき、最も貢献度の大きい開発者から最も貢献度が低い開発者までをランク付けした。
その結果、貢献度合いの分布はOSSでもプロプライエタリソフトウェアでもおおよそ同じようなもので、貢献度が最大の開発者(ナンバー1)は、プロジェクト全体の20%ほどの成果を生み出していた。単純計算では、ナンバー1の開発者が5人いればプロジェクトを完成に導くことができるはずだが、現実にはそうはならない。続く2位から5位の開発者がさらに20%の貢献をしており、上位15名の開発者で、おおよそプロジェクト全体の80%を担っているという。
では、ソフトウェア開発プロジェクトのマネージャーという視点からこの結果を見て、ソフトウェアを完成させるために何人の開発者を雇用すればよいだろうか? 調査結果からは、開発者が50名いれば90%の作業が完遂でき、100名いれば95%まで達成できることが分かる。しかし、事業としての利益を考えた場合は、どこかで線を引くことになる。実際のプロプライエタリソフトウェア業界での実例を見ると、おおよそ25から35名という辺りに落ち着いているという。
この調査の対象となったApacheの開発プロジェクトには、388名の開発者が参加したという。貢献度の分布からは、その大半は1行しかコードを変更していない開発者だと考えられる。これは、ごく些細な貢献のようにも見えるが、しかし、それを実行した個々の開発者にとっては重要な変更だったはずだと同氏は指摘する。これこそが、同氏の言う「必要は発明の母」であり、こうした開発者は、自身の必要に基づいて必要な開発を行なったのだと考えられる。
Tiemann氏は、「ユーザーにとって、抱えている問題の80%を解決してくれる“まあまあのソリューション”と、彼ら自身が参加することで100%の問題を解決できるソリューションとのどちらかを選べるとしたら、どちらが“ベストチョイス”となるだろうか」と問う。
世界には、「オープンソース開発者」を自認する人が200万人以上いるという。同氏は「オープンソースプロジェクトはガーデニングのようなものだ。週末の多くの時間を費やして、オープンソースという庭の手入れをする。一人一人が毎週1〜2時間を費やしたとして、全世界で数百万の開発者がいることを考えれば、費やされた時間は総計で数百〜数千時間に達する。
インドや中国といった国では、人々のオープンソース開発への取り組みは始まったばかりだが、遠からず数千万単位で開発者が出現するだろう。これだけの人数がいれば、個々が費やす時間はわずかでも、総量としては膨大なものになり、世界中のどんな開発企業であっても、単独でまかなうことは不可能なレベルに達する。これこそが、Red Hatがオープンソースモデルでソフトウェアを開発し、ソリューションを市場に送り出す根本的な力だ」という。
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