オープンソースと“自由”
Tiemann氏は、OSI(Open Source Initiative)のプレジデントも兼務している。一方、同氏はGNU C++コンパイラの開発者でもあり、FSF(Free Software Foundation)の活動にも詳しい。そこで同氏に、FSF流の“自由”についてどう考えるかを訊ねてみた。
「私の意見では、FSFの基本的な立場は道徳や倫理に関するものだ。FSFは、仮に、ソフトウェアに関する自由が高品質を実現するための障害になるとしても、より良い革新を阻害することになるとしても、提供できる価値が最良のものとはならないとしても、仮にまともに動かないソフトウェアになるとしても、それでもそうした要素は問題ではなく、それよりもソフトウェアの“自由”のほうが大切だというだろう。FSFは、“自由”のために戦うほうが、“快適な奴隷状態”に甘んじるよりも良いことだと考えている」(Tiemann氏)
一方、OSIの立場はそれとは微妙に異なる。
「OSIは、ソフトウェアの“自由”が高品質、より大きな技術革新、より高い価値に結びつくのであれば、それがなぜなのか、どうしたらこうした要素が実現できるのかを追求すべきだと考えている」(Tiemann氏)
同氏はさらに、品質管理の父と呼ばれ、本の製造業の発展に大きな影響を与えたWilliam Edwards Demingの考え方を引き合いに出して説明した。
「Demingは『品質が最も大切だ』とは言っていない。彼は、『人生が意義深いものとなるように、変革の道を探すべきだ』と言ったのだ。50年前の工場労働者の生活は悲惨なものだった。そのため、工場労働者の人権を守り、公正な取引、公平な労働環境を確保するために努力する人が世界中にいた。こうした人々は、工場の状況が人間として到底耐え難いものであることに気づいていたからだ。こうした人々は、FSFと同様に、人権のために工場と戦った。デミングは、劣悪な環境からは良い製品は生まれないということを理解していたのだ」(Tiemann氏)
さらに続けて「私自身は、FSFの立場に対しては共感できると感じている。しかしながら、品質、価値、パフォーマンスを高めるというゴールを設定し、こうした要素をソフトウェアの“自由”と結びつけることがより効果的だと考えている。そのため、私はソフトウェアの“自由”と品質、価値、パフォーマンスを両立させようとするOSIの立場の方がより適切だと感じている。一方だけに注力するのではない。OSIの強みは、こうしたバランス感覚にあると思う」という。
FSFの自由を求める“戦い”に共感を表明しつつも、まずは生み出されるソフトウェアに注目するというのがOSIの代表としての同氏の基本的な考え方であり、同時にRed Hatのポリシーなのだと考えて良さそうだ。
関連情報
-
レッドハットとノベル、特許権侵害で提訴される--Linuxベンダーで初めて
UPDATE IP InnovationとTechnology Licensing Corporationの2社が米国時間10月9日、Linux販売大手のレッドハットとノベルを提訴した。 - レッドハット、第2四半期決算--業績好調もJBossに課題 [From CNET Japan]
- レッドハットが「Red Hat Ready Business Partner」を発表--パートナー支援体制を強化
- インドのケララ州政府、オープンソース化計画を発表--レッドハットと提携
- レッドハット、「Fedora 7」リリース--「Core」と「Extras」は統合
- LinuxだけじゃないOSSソリューションベンダーへの進化のとき--レッドハット
- RedHatによるJBoss国内展開いよいよ--OSSは小さく始めるSOAに有効
- レッドハット、Red Hat Exchangeを開設--提携企業のオープンソースアプリを提供
- IBMとレッドハット、メインフレームサーバ向けLinux推進プログラムで提携
- Red Hat Summitが開幕--発展途上国向け「Global Desktop」などが発表に
- Red Hat
- レッドハット
「経営が知るべきバズワード」 の新着情報
-
ファーストリテイリングCIOが考える「CIOの資質」とは
2008年9月3日、「JUASスクエア『ITガバナンス2008』」が開催された。初日に行われたパネルディスカッションでは、ファースト... - レッドハット、仮想化企業Qumranetを買収
- OLPC、「Give One, Get One」プログラムを再開
- 企業ITの船長は誰? 何を頼りに船を進める?
- グーグルが「Chrome」を作った理由--高速ブラウジングがもたらす利益
- 経営が知るべきバズワード 一覧へ »
「インタビュー」 のバックナンバー
-
カスペルスキー会長が語る:ロシア市場、IPO、企業買収、業界再編
ネット企業が続々とIPOに向けて準備を進めるロシアのIT市場。カスペルスキーも昨年8月、IPOを視野に入れた組織再編を実施した。同社会長のナタリア・カスペルスキー氏にロシア市場や企業戦略について話を聞いた。 -
B・ゲイツ氏、MS常任会長退任インタビュー--創業期から今後まで(後編)
-
B・ゲイツ氏、MS常任会長退任インタビュー--創業期から今後まで(前編)
-
MS開発トップが語る「Windows 7」(後編)
-
MS開発トップが語る「Windows 7」(中編)
- インタビュー 一覧へ »
ZDNet Japan Essential Topic
-
【今注目のIT企業は何を考える…??】
オススメIT系求人情報も毎週月曜日更新! -
コラボレーション基盤特集
Notes置換とバージョンアップの情報はこちら
企画特集
-
Webセキュリティ特集
Web2.0時代の脅威へ対抗するためのソリューションとは? -
ZDNet Japan ホスティング特集
2008年夏のホスティングサービスのトレンドは何? -
セキュリティ対策レベルテスト公開!
自社のセキュリティのウイークポイントはドコ? -
サーバ仮想化・グリーン化の利点を最大化!
そ多機能・高価値なNetAppストレージの秘密とは -
ログ管理ソリューション特集
セキュリティ、コンプライアンス対策で注目度アップ! -
「シンプル」&「低コスト」な運用管理
IT運用管理に関するアンケート実施中! -
Techno Exchange
RackableとCTCの地球にやさしい関係 -
ZDNet Japan Green IT
サミットだけでは終わらせない!エンタープライズの取り組みはこれからだ! -
APC SOLUTIONS FORUM 2008をレポート
電源、冷却の効率化によるエネルギー削減とは? -
Secure Web
Web2.0時代にプロアクティブなセキュリティを実現!! -
【ログ管理】Logstorage、SecureEagle/SIM
内部統制のためのソリューションを紹介! -
IronPort Sシリーズ
Webからの脅威に関する課題の3つの解決方法
ZDNet Japan イベント
- 開催日:2008年9月29日(月)
- イベント一覧へ»