Linuxカーネルプロジェクトを率いており、オープンソース運動の中心人物でもあるLinus Torvalds氏は米国時間3月28日、同日にリリースされGNU General Public License version 3(GPL 3)のドラフト第3版における変更に「かなり満足している」と述べた。
Linuxカーネルと、その上で動作するソフトウェアパッケージの多くでは現在の最新版であるGPL 2が適用されており、Torvalds氏はGPL 3のこれまでのドラフトに強い不満を表明していた。しかし同氏によれば、GPL 3にざっと目を通したところ、こういった懸念の一部は解消あるいは緩和されているという。
Torvalds氏は「実際のところ、私はかなり満足している。それが完璧な出来に思えるからというわけではなく、単に以前のドラフトから実際に期待していたものよりもはるかに優れていることは確かだと思えるからだ」と述べるとともに、「それがGPLv2よりも実際に優れているかどうかについてはまだ少し懐疑的であるものの、少なくとも『絶対だめ!』から『懐疑的である』になったということは言える」とも述べている。
特に、デジタル著作権管理(DRM)に関する条項は制限され、互換性のないGPLのバージョンが複数存在することになりかねないとTorvalds氏が危惧した別の条項は削除されたり、害のないものになっている。
「その多くの部分について、より満足している。その大半がわかりやすくなっていると思うし、最も恐れていた部分のいくつかは完全に削除された」(Torvalds氏)
Torvalds氏は、LinuxカーネルのライセンスをGPL 3に移行しようとするかどうかについては態度を明らかにしなかった。LinuxカーネルのライセンスをGPL 3に移行するためには、同氏だけではなく、Linuxカーネルに対して著作権を持っているその他の人々の許可も必要となる。しかし、同氏は移行の可能性を否定しなかった。
Torvalds氏は「今回のドラフトで、少なくとも理論上は可能だと思うようになったが、現実的であるかと、価値があるかということはまったく異なる話だ」と述べるとともに、「現実的に言って、GPLv3はOKだとわれわれが決定したとしても、関係のあるものすべてがGPLv3と互換性があることを保証するためには多くの作業が必要になる」とも述べている。
DRMはまだ行き詰まりの原因となっている。ドラフトを作成しているFree Software Foundation(FSF)は、TiVoといったハードウェア企業がその製品に使用しているGPLソフトウェアに制限を課すことを禁止したいと考えているが、Torvalds氏はそれは許されるべきだと考えている。
「『われわれは、ソフトウェアだけではなく、それを実行させるハードウェアもコントロールする』という部分は、根本的に誤っていると考えているため、カンに障るのだ。しかし、今回のドラフトでは少なくとも、そういった部分がかなりまともな形で制限され、明確にもなっている」(Torvalds氏)
Torvalds氏は「以前のドラフトとは異なり、今回のドラフトは少なくとも、GPLの名を汚すものとはなっていないようだ」とも付け加えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ