Javaウェブアプリケーションフレームワーク「Wicket」のバージョン1.3ベータ1がリリースされた。Apache Wicket 1.3.0-incubating-beta1というバージョン名となる今回のリリースは、プロジェクトがApache Incubator下に移って初のリリースとなる。
今回のリリースでは2つの大きな変更が加えられた。まず、Apacheプロジェクトとしてパッケージの名前空間がorg.apache.wicket.*となっている。また、これまでのサーブレットではなくフィルターとしての利用が推奨されている。これにより、コンテキストルート以下の全てをWicketのアプリケーションとして利用することができるようになった。
プロジェクトページにおいて「Swingに近いオブジェクト指向のコンポーネントモデル」と表現されているとおり、Wicketの特徴は徹底したJavaのオブジェクトモデルの利用だ。サーブレットを利用するための標準的な設定ファイル"web.xml"がほぼ唯一利用されるXMLファイルとなる。JSP+Java+XMLというStruts以降のウェブアプリケーションフレームワークの流れとは大きく異なり、HTMLとJavaによる記述でウェブアプリケーションが構築される。
先週、Wicketの周辺ではもうひとつの動きがあった。Wicketプロジェクトのコミッターの一人であるJonathan Locke氏が新しいビルドツールを開発していることを明らかにしたのだ。これもWicketと同じくJavaによるオブジェクト指向の徹底が特徴のツールといえる。現在、Javaの開発において主要なビルドツールとして使われているAntとMavenは定義をXMLで記述していた。しかし、この新しいツールでは全てがJavaで記述されることになる。
「ビルドのためのリソースを解決、組織化、変換してくれる再利用可能なオブジェクト―抽象化され、柔軟で拡張可能、型の安全性が保証され、リファクタリングも可能なオブジェクトだ―これをビルドツールに使えば、これまでのツールではできなかったいろいろなことができるようになる」と、同氏は新しいビルドツールの可能性を述べる。
ところで、この「新しいビルドツール」、実はまだ名前が決まっていない。ブログのエントリーのコメント投稿で提案が受け付けられているので、AntやMavenに負けない良い名前を思いついたら投稿してみてはいかがだろうか。