仕事に慣れ、スキルも上がってきたとき、人には次のステージが待っている。そんなとき、これまでの仕事の仕方やジャッジの方法を見直し、思い切って変革することで、劇的にパフォーマンスが向上することがある。仕事の中で自分を表現できれば、さらに面白さも増すだろう。本稿では、そのためのヒントについて考えてみよう。
これは「白を黒と見ろ」という天邪鬼な考え方を勧めるものではない。「いつもこうしているから」とか「これまでもそうだったから」という過去の慣習や常識を鵜呑みにせずに、これに疑問を抱き、冷静にさまざまな角度から検証すべきということだ。物事は、そのスタートラインが肝心だ。出発点で、誤解が生じていると、本来、目指すべきゴールにたどり着けず、求める成果も得られないからだ。
そして、大切なのは疑問を感じたら、それを言葉に出して周囲に問いかけること。「おかしいな」と感じたのに、間違いを恐れて日和見を決め込んではいけない。ビジネスの本質は、「言われたことをする」のではなく、「良い結果を出す」ことだ。たとえ、自分の疑問が間違っていたとしても、それもひとつの成果となる。むしろ、その積極性が共感されて、より有益なアドバイスがもらえるかもしれない。その結果、視野が広がって、さらに良いアイデアが生まれることもあるはずだ。
よく、「学校では知識は教えるが、知識の獲得のしかたはあまり教えない」などと言われる。7月に90歳で亡くなった梅棹忠夫氏の著書に「知的生産の技術」がある。1969年に初版が発行されたこの本から「知的生産」という言葉が生まれた。
この本の中で梅棹氏は、メモのとり方、カードの利用法、原稿の書き方など、知識を獲得するための実践的技術を紹介している。もちろん、40年前といえば、PCは一般に普及しておらず、Googleも存在しない時代だ。この本で紹介された「京大式カード法」を利用しなくても、今では、PCを操れば検索サイトで膨大な情報を取得できる。しかし、効率的な反面、その解釈は浅くなってしまっているかもしれない。情報を深く理解しているか、必要な関連情報の一覧性はどうかと考えると、読んで知るだけではなく、自らメモとして書き留め、整理する必要性はなくなっていないのではないだろうか。
「整理」をするというこのは、能率の問題だけではなく,思考のための障害物を取り除き、知的な生産が行える環境を整えるということだ。梅棹氏は、「知識を獲得するための基本的技術の訓練不足が研究能力の低下をもたらす」とも語っている。
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