マネージャーとして一流の「コミュ力」を身につけるための10のポイント

富永恭子(ロビンソン)

2010-08-05 13:14

 ハーバード大学のRobert Katz教授は、マネージャーに求められる能力として、「テクニカルスキル(業務遂行能力)」「ヒューマンスキル(対人関係能力)」「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」の3つを提唱した。

 その中でも、近年では特にマネージャーのヒューマンスキルの重要性が叫ばれている。環境変化のスピードが速く、事業モデルの変更や、商品開発のサイクルが短くなった今、マネージャーには、現場の情報をいかに早く吸い上げ、どう適切に対応するかが問われる時代となった。そこでは、現場のマネージャーが部下の意見を集約し、対応策を練る必要があり、メンバーの意見を「引き出す」「まとめる」などのヒューマンスキルが要求される。

 ヒューマンスキルとは広い概念であり、目的により個別のスキルとして「リーダーシップ」「コミュニケーション」「ファシリテーション」「コーチング」「プレゼンテーション」「交渉力」「調整力」などによって形成される。ヒューマンスキルを開発しようとすれば、個々の目的に応じて個別のスキルを開発することになるが、それぞれを一つ一つ、全部マスターしていくのは至難の業だ。そこで、今回は、日常の仕事でヒューマンスキルが試される10のシーンを選び、そこで発揮すべきスキルのポイントを紹介する。

#1【依頼】:協力を引き出すのに十分な感情的配慮をしているか

 依頼は、合理的かつ情緒的でなくてはならない。そのためには、依頼の背景や理由が明快であることはもちろん、それに加えて、相手の協力を引き出すのに十分な感情的配慮がなされている必要がある。

 普段の自分を振り返ってみよう。「依頼」とは名ばかりで、単に自分勝手な頼み事に終止してはいないだろうか。自分の都合ばかりで「とにかくお願いします」の一点張りでは、相手からの協力を引き出せない。それどころか、下手をすれば「なぜ、あの人のために自分が苦労しなければならないんだ」という不満や疑念の気持ちを抱かせてしまいかねない。

 中国の三国時代に活躍した武将である劉備は、諸葛亮の見識に惚れ込み、三たび彼の家に足を運んで、やっと軍師として幕下に迎えることができた。これが有名な故事「三顧の礼」のエピソードである。この話の要は、その数ではない。求める気持ちの強さだということを覚えておこう。

#2【拒否】:断られた側にも爽やかさが残るような断り方をしているか

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  4. クラウドコンピューティング

    Snowflakeを例に徹底解説!迅速&柔軟な企業経営に欠かせない、データ統合基盤活用のポイント

  5. ビジネスアプリケーション

    AI活用の上手い下手がビジネスを左右する!データ&AIが生み出す新しい顧客体験へ

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]