ある日、ラジオに耳を傾けていると、緊張した声で「Believe me, ahh, Toyota's car is safety」という声が飛び込んできました。大規模リコール問題に関して、トヨタ自動車の代表取締役社長である豊田章男氏が2月5日に行った謝罪会見です。
この謝罪会見をNew York Timesでは「Toyota chief Toyoda apologises for defects」として取り上げ、豊田社長のコメントに対して「He added in broken English」と表現しました。公式会見でbroken Englishと書かれるのは極めて異例なことでしょう。確かに、豊田社長の英語のレベルはあまり高くありませんでした。謝罪で「Believe me」とするのはどうなのか、また「Toyota's car is safety」ではなく「safe」でしょう、といった間違いも気になります。
しかし、本当の問題はそういう言語的なことでは決してありません。国際企業としてのトヨタの対応が適切だったのか、きちんと考えてみる必要がありそうです。会見の内容をレビューし、本当の問題点を検証してみましょう。
遅すぎた対応
まず、一番の問題は対応の遅さです。話題になった豊田章男社長による初めての会見は2月5日です。それまでの経緯を見ると、その対応の遅れが顕著に伺えます。
2009年11月25日:米国国内で販売した8車種の乗用車計約426万台を対象にペダルの無償交換などのリコールを発表
2009年11月27日:5車種109万台の追加リコールを発表
2009年11月29日:欧州で8車種、最大180万台を対象としたリコールを発表
ここまでの段階ですでにこれほどのリコールを発表しながら、企業の説明責任を果たすような行動があったのは、
- 2009年11月31日:具体的な対策を2010年2月1日に発表すると明言
したのが最初です。
そして2月1日、トヨタ自動車の米販売子会社Toyota Motor Salesの社長、Jim Lentz氏がNBCテレビ、CNBCテレビに出演し、米国での大規模リコール問題に関して謝罪しました。その後冒頭で述べた2月5日の豊田社長の謝罪会見につながったのです。
遅すぎます。こんな対応は常識的に考えられないと思ったのは私だけでしょうか?