「RFID普及のねらいは、日本の産業界の国際競争力を強化するためだ」--こう話すのは、経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 課長補佐の佐々木啓介氏だ。同氏のこの思いは、RFIDが普及することで業務の効率化や新サービスの誕生が期待でき、企業間取引最適化に向けたIT投資が進むということを想定してのことだ。佐々木氏の所属する経済産業省を含め、政府がRFIDの普及に向けて取り組んでいる内容が、9月13日より東京都内にて開催された「第8回自動認識総合展 AUTO-ID EXPO 2006」にて紹介された。
佐々木氏は、経済産業省のIT投資促進税制に関するアンケート調査と、ガートナーのIT投資動向に関する海外調査をもとに「企業内でITを活用するケースは増えているが、日本ではまだそのほとんどが部門内での業務最適化にしか使われていない。部門を超えた組織全体の最適化や、取引先、顧客などの関係者も含めた企業を超えての最適化となると、ほとんどの企業が実現できていないのが現状だ」と話す。一方米国では、企業全体や企業間でのIT活用が日本とは比べものにならないほど進んでいると佐々木氏は述べ、「RFIDを企業間取引で普及させ、競争力強化に結びつけたい」とした。
経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 課長補佐の佐々木啓介氏経済産業省のRFID普及に向けた具体的な政策の中でも、特に力を入れているのが国際標準化と低価格化だ。貿易国の日本においては、国境を越えてもタグが利用できることが必須なこと、そして現状のタグの価格である数十円から数百円というレベルでは、個品単位でタグを利用するには高価すぎることなどがその理由だ。
標準化への動き
まず標準化においては、「特に商品コードと技術規格の標準化にフォーカスしている」と佐々木氏。商品コードについて同氏は、現在幅広く使われているバーコードを例に挙げ、業界ごとの個別規格があることを指摘する。例えば、食品、生活雑貨などに使われているJANコード、物流分野やビデオ予約などで使われているITF、ファクトリーオートメーション用のCODE39、宅急便ラベルや図書館などで使われているNW-7などだ。JANコードとITFは数字のみで成り立っているが、CODE39、NW-7は数字と英字が入り交じるなど、それぞれ全く互換性がない。こうした現状から佐々木氏は、「RFIDでは業界を越えて利用できる統一規格が必要だ」と主張する。
そのため、経済産業省では「商品トレーサビリティ研究会」を設置し、RFID用の商品コード体系統一化案を策定、2003年5月にISOに提案した。その結果、2006年3月の国際会議にてこの案が採用され、国際標準規格として成立した。
また、技術規格の標準化については、「異なるメーカー間で相互に読み取り可能となるよう、通信プロトコルは最低限の標準化が必要だ」と佐々木氏。ただ、RFIDの国際標準として有力視されているUHF帯の通信プロトコルは、EPCグローバルとISOで独自に検討されていた。これを統一することが課題となっていたが、経済産業省をはじめ世界のユーザー業界が統一化を働きかけた結果、2006年6月に企業間取引用のRFIDの統一国際標準が「ISO/IEC18000-6 typeC」として成立した。
低価格化プロジェクトの成果
低価格化に向けたプロジェクトとしては、2004年8月から2006年7月という開発期間で進められた「響プロジェクト」がある。同プロジェクトは、数十円〜数百円のタグの価格を5円まで下げ、国際標準準拠のRFIDタグの安定供給体制を構築することを目標とした。
日立製作所を中核企業とし、NEC、大日本印刷、凸版印刷、富士通を協力企業として技術開発コアチームを結成した同プロジェクトでは、低コストでのアンテナ製造技術や実装技術、国際標準UHF帯RFIDの小型化などについて研究を進めた。2006年末までには1個5円のタグが量産できるよう、設備稼働の準備が進んでいる。
関連情報
-
NEC、UHF帯RFIDの一括読み取りが可能なゲートシステムを開発
NECは、複数のUHF帯対応無線ICタグ(RFID)を一括読み取り可能なRFID読み取りゲートシステムを発表した。2006年中に製品化し、国内外向けに出荷を開始する予定。価格は800万円からになると見込む。 - アイエニウェア、RFIDシステム構築のためのミドルウェア新版
- 富士通、「UHF帯RFID評価キット」を開発--一括読み取りの動作検証が可能に
- 凸版印刷、ICタグを活用したネットワーク型循環容器管理システム
- 日本HPと日本BEA、RFID利活用アーキテクチャ「RFID 2.0」の開発推進で協業
- NEC、RFID関連ソリューション事業の強化で「2010年に2000億円の販売を目指す」
- DNP、アクティブ型ICタグ利用のトレーサビリティシステムを開発--温度・位置データを蓄積
- 坂村健氏、サイコロ大のUWBアクティブ電子タグを披露
- 経済産業省
- 総務省
「通信」 の新着情報
-
複数のデータセンターを分散させたままでBCP/DRを展開:山武
業務に必要なシステムをデータセンターで稼働させている企業は多いと思うが、災害復旧(DR)を中心とした事業継続計画(BCP)... - 日立ソフト、「SecureOnline 出前クラウドサービス」発表--導入負担を軽減
- APC、アセスメントサービス拡充--赤外線カメラで高温部分を把握
- シマンテック、中小企業に関するIT調査を発表:57%がIT費用増加と回答
- 日本IBM、企業内クラウドの展開を管理するアプライアンス「CloudBurst」を発売
- 通信 一覧へ »
「RFID最前線」 のバックナンバー
-
RFID普及に向けた「国際標準化」「電波干渉問題」「低価格化」への動き
RFIDの普及に向けては、国際標準化や電波干渉問題、タグの低価格化といった課題が山積みだ。こうした課題に対する政府の取り組みや現状を探った。 -
実用化が見えてきたRFIDの現状と課題
- RFID最前線 一覧へ »
ZDNet Japan Essential Topic
-
Windows 7の情報満載
MicrosoftのすべてがわかるZDNet Japanの総力特集 -
業務効率化への第一歩はプロセス指向
まずは晩飯づくりからプロセスに分解してみよう!
企画特集
-
今注目の「サジェスト検索」−デモ掲載中
システムのユーザビリティに革命を起こす技術とは -
パンデミック対策特集
2009年のパンデミック発生から再考する事業継続計画 -
集積度も性能も、業界最高水準のブレードPC
サーバの実装技術を、シン・クライアントへ応用 -
セキュリティ&ユーザ事例【SIer Club】
最新のセキュリティ情報と提案事例が満載 -
SOA、BPM、SaaS −今、企業に必要なこと
ビジネス・アプリケーションの今を網羅する特設サイト -
ロリポップ!がリニューアル
【第1回】創業者の家入一真氏が語る誕生秘話!! -
マネジメントの「コラム」と「コネタ」
今日のキーパーソンは誰? -
ストレージメディア特設サイト開設
仮想化環境において最適なソリューションを! -
ESBでIT投資の無駄を劇的に解消する
IBM IMPACT 2009を徹底レポート! -
【徹底対談】運用管理ツールの賢い使い方
市場背景〜仮想化管理までアナリストが解説! -
インターネット上の悪意を未然に防ぐには?
ブラウザに備わったセキュリティ機能を徹底解説 -
仮想環境を実現するソリューション特集
仮想化導入時、こんなところ気にしてますか? -
◆エン・ジャパン厳選求人☆毎週更新◆
不況下でも急成長の秘訣とは?注目企業の取組みも公開! -
そのストレージで仮想化に対応できますか?
メリット盛りだくさんのサンのオープンストレージ製品 -
中小企業のセキュリティリスクとは?
導入する側・される側 得するセキュリティ製品 -
■ストレージ容量50%削減保証■
ネットアップによる削減保証キャンペーン実施中 -
エンタープライズにおけるSUSEの強み
次世代データセンターの基盤は11だ。 -
サーバー監視・運用のコストを削減するには
エージェントレス方式を用いたパトロールクラリスで -
サービス・ドリヴン・データセンター
コスト効果の高いデータセンター構築には?
ZDNet Japanからのお知らせ
- ご回答にはCNET_IDご登録が必要です。
-
11. Lock分析とWait分析
この3分間のビデオでは、アプリケーションのクリティカルセクションを分... -
12. 高度な診断
この3分間のビデオでは、Intel parallel Composerが、Intel C++コンパイ...
新着企業動向
-
低価格個人情報保護スタンプ!サンプル無料配布開始。防災グッズ・防災用品専門店
有限会社スリーズコム -
緊急開催 第二弾! 新型インフルエンザ対策無料セミナー
NTTソフトウェア -
【EMC Mail News】3分でわかる最新ハイエンド・ストレージSymmetrix V-Maxの製品概要
EMCジャパン -
セキュリティ診断
NRIセキュアテクノロジーズ - 企業動向一覧へ»
幸い今回は弱毒性で大事には至らなかったが、まだ油断はできない。企業活動を停止すると、大きな経済的損害や社会的信用の低下を招いてしまう。
サーバやOS、アプリケーションなどの世界ではオープンソーススタンダードが市場を牽引する現在、ストレージの世界でもオープン化の流れが始まっている。 
