マイクロソフトの「Office Live Workspace」が意図するもの

文:Mary Jo Foley(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:菊地千枝子

2007-12-11 20:40

 Microsoftは米国時間12月10日、米国のベータテスターを対象に「Office Live Workspace」を公開した。これは「Google Docs」に対するMicrosoftからの応酬である。

 とはいえ、Microsoftの最新の「Live」サービスの中には、Googleやその他のWeb 2.0サービスの競合者のサービスとは異なる点もある。

 Office Live Workspaceは「Microsoft Office」のウェブベース版ではない。これは何よりもまず、Microsoft Officeを補完するものと意図されている。Microsoftの関係者が述べた通り、Office Live WorkspaceサービスはPC、キオスク、あるいは他のウェブアクセスポイントからOfficeをインストールせずに利用することができる。技術的に必要とされるものは「Internet Explorer」または「Firefox」ブラウザである。しかし同社はOffice Live Workspaceユーザーが本サービスをこのように利用するとは予期していない。

 以前にも筆者がブログで述べたように、Microsoftはその最大のクライアントベースの稼ぎ頭のひとつを選び出して、ウェブ上で利用可能とすることにインセンティブや関心を持たない。Microsoftの幹部は、ユーザーを調査した結果、ウェブ上で報告書を書き、インターネットキオスクからPowerPointのプレゼンテーションを作成することに関心を示す利用者は比較的少数であったと言う。 これには同意せざるを得ない。多くの専門家やWeb 2.0の支持者が、ユーザーはオンライン上で文書を作成し、アクセスし、閲覧し、共有することを願っていると主張する一方で、ほとんどのユーザーが本当に望んでいるのは、アクセス、閲覧、共有の部分だと思う。

 しかし同時に、Office Live Workspaceには、Microsoftが最終的にウェブベースのオフィス(このofficeは小文字の「o」である)スイートとして位置づけるかもしれないと思わせる要素もある。これには「Web Notes」と称する初歩的なオンラインワードプロセッサが含まれる; 「Web Lists」と称する計算をしない「スプレッドシート」(少なくとも今のところは)がある;そして文書にアクセス、閲覧、コメントする機能がある。この文書には自分が作成したものと、他者が作成して許可を与えたものの両方を含む。Microsoftがいずれ、これらの要素を組み立て、その他に2、3の機能を追加し、ウェブベースのオフィススイートとして、シッククライアントのOfficeと広告によりサポートされた「Microsoft Works」の間に位置づけることになったとしても不思議ではない。

 Microsoftは現在、Office Live Workspaceのターゲットを消費者、小規模企業、そして教育市場としている。これはファイアウォールに妨げられることなく、文書コラボレーションを簡易化するために設計されたサービスである。Microsoftは潜在的顧客として企業を排除していない。その可能性を排除することは、その市場を「Google Apps Premier Edition」に譲り渡すことを意味するだろう。

 「われわれは、Office Live Workspaceの利用者には2通りあるとみている:世帯ベースから企業におよぶ情報労働者と学生である」とOffice クライアントのシニアプロダクトマネージャーを務めるEric Gilmore氏は述べている。

 しかしMicrosoftは「Office SharePoint Server」や「Office Groove」そして同社の成長株であるOnline Servicesの各サービスが、企業顧客にとって最善の製品であると強調し続けている。Microsoftの論点はこうだ:企業ユーザーは、規制遵守、アーカイブ化、バックアップ、ディレクトリ統合、監査、その他を考慮する必要がある。これらの機能はいずれも、Office Live Workspaceより「SharePoint」のほうが優れている。

 Office Live Workspaceは、米国時間12月10日、米国の事前登録された「何千もの」テスターに提供される。Microsoftは、国際ユーザーに対してこのテストを「来年初期」に拡大する計画である。英語以外の言語も「2008年中に」入手可能となる予定である。 OfficeからOffice Live Workspaceに保存できるようにするためには、ユーザーはMicrosoft Download Centerから入手できるクライアントプラグインをダウンロードする必要がある。Microsoftは、現在のMac用OfficeとOpenOfficeのユーザーもまた、Office Live Workspaceを利用できるようになるが、これらの製品からLiveサービスに自動的にコンテンツを保存できるようなプラグインはないと述べている。

 Microsoftがこのサービスから「ベータ」のタグをいつ取り除く予定なのかはまだ判らないが、同社関係者はこのリリースを「version 1」と呼んでいる。

 Office Live Workspaceのさらなる詳細についてはZDNetのブログ仲間であるDavid Berlindの記事をチェックしてほしい。本ベータサービスのオンラインデモを提供している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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