2008年の「Professional Developers Conference(PDC)」にて、Microsoftがウェディングケーキのような包括的な「Azure」クラウドレイヤー図を披露したとき、私の目にはこの図がいく分、ぞんざいに作り上げられたものにみえた。
昨年秋のPDCまで、Microsoftは2つの“クラウド”開発プラットフォーム--AzureサービスプラットフォームとLive Frameworkプラットフォーム--を並行して構築していた。2つは共に一貫性のあるプログラムインターフェイスとサービスを開発者に提供することになっていた。そしてPDCで、Microsoftの代表者は統一したユニファイドクラウドプラットフォームを発表した。ここでは、「Live Framework/Services」と「Azure .NET Services」が共存することになる。
だが、ウェディングケーキの飾りつけがなくなったところで、このユニファイドプラットフォームビジョンも真実味を帯びなくなった。
米国時間8月21日、Live Services担当コーポレートバイスプレジデント、David Treadwell氏はブログにて、開発の方向性を変換することを発表した。Live FrameworkとLive Servicesプラットフォームを変更し、コンシューマにフォーカスしたウェブサービス「Windows Live Wave 4」の一部にするという。Windows Live Wave 4は数カ月以内にテスト版が公開されることになっている(Microsoftは数カ月以内に、Live FrameworkをWindows Liveへの統合計画の詳細を開発者に公開すると述べている)。
一方で、既存のLive Framework/Servicesインフラを利用する開発者は、Microsoftが現在のLive Frameworkの提供を停止する期日である9月8日までに、データかコード、またはその両方をダウンロードしておく必要がある。Microsoftはまた、開発者に対し、Framework/Servicesプラットフォームを利用した制御や端末を削除するよう忠告している。
Microsoftは開発者に対し、オンライン同期・コラボレーションサービスの「Live Mesh」はこの変更の影響を受けない--少なくとも出荷については--と説明している。PDCでMicrosoftは、Live ServicesプラットフォームをLive Meshの開発者スタック向けの補強技術と位置づけていたが、どうやら2つは当時Microsoftの幹部が示唆していたほどは密に連携しないようだ。
以下は、8月21日付けでMicrosoftが公開したLive Frameworkに関するQ&Aからの引用だ。
Q:Live Services開発者ポータル(live.azure.com)で変更されるのは何か?
A:Live Framework対応のウェブサイトを構築する機能とMesh対応のウェブアプリケーションを構築する機能が削除される。Live Framework対応のウェブサイトとMesh対応のウェブアプリケーションとAnalyticsは、これらアプリケーションの提供が終了となるため、編集不可能になる。Live Framework CTPトークンも無効となる。
Live Frameworkへの長期的なコミットについてMicrosoftに聞いてみたところ、同社代表者から以下のような回答があった。
MicrosoftはLive Frameworkに大きくコミットしている。われわれの目標は、Live Frameworkのリッチな技術を、Microsoftが提供する最大級のオンラインサービス「Windows Live」に統合するというものだ。これにより、開発者は5億人以上のWindows Liveユーザーにアクセス可能となり、ウェブや端末上で動く魅力的なソリューションを構築できる。われわれは今後も、われわれのサービスと一貫性のあるプログラムインターフェイスを持つ優れた開発者エクスペリエンスを提供することを目指している。
当初私は、今年11月のPDCでAzureから「べータ」という文字が外れることになっていることを考えると、PDCではLive Meshの正式版もローンチになるのでは、と推測していた。だが、これらの細かな変更を考えると、この予想はあやしくなってきた。
Microsoftの最新の方針変更は、AzureとWindows Liveにとって何を意味するのだろうか?
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ