マイクロソフトのバルマーCEOの「5つの重要なこと」

文:Mary Jo Foley(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:末岡洋子

2010-05-24 11:40

 Microsoftの最高経営責任者(CEO)になって数年間、Steve Ballmer氏は年始に財務アナリスト向けにMicrosoftの「戦略アップデート」を行うのが恒例となっている。だがBallmer氏は2010年、このアップデートを行わなかった。その代わり、米国時間5月19日に開催した年次イベント「Microsoft CEO Summit」の基調講演で戦略に関して話をした。

 2010年のCEO Summitではプレスの参加が禁止されていたが、Ballmer氏の基調講演(参加した約125人のCEOとのQAセッションは除く)はウェブキャストされた。スピーチのタイトルは、「クラウドのチャンスを掴む」だったが、Ballmer氏は30分強のスピーチ中、Microsoftのクラウド戦略やポジショニングについて新しいことは言わなかった。

 しかし、興味深かったことがある。Ballmer氏は参加者を前に、大手ハイテク企業のCEOとして感じている「5つの重要なこと」について語ったのだ。5つの重要なこととは、以下のようになる(Ballmer氏が示したスライドに書かれている順):


  1. 才能ある社員を集める
  2. 投資のバランスをとる
  3. 適切な分野でイノベーションを起こす
  4. ポジティブな製品フローを維持する
  5. 将来を適切に予見する(例:クラウド)

 Microsoftは適切に自社を修正しながら、この5つの取り組みを全力で進めているつもりだ、とBallmer氏は述べた。新卒採用で競合と争う場合、70〜75%の確率で獲得に成功しているという。シニアレベルの中途採用についても積極的であり、適切な比率で適切なところに配置していると思う、とも述べた。

 一番興味深かったのは、バランスのとれた投資についてのBallmer氏のコメントだ。Ballmer氏は、長期的な投資が効果を生み、企業の利益に貢献をし始めるまで5年間の猶予期間をみていると述べた。

 (過去の財務アナリストとの戦略アップデートで、Ballmer氏は次の3年間の新しい利益成長において5億ドル以上を維持できるものに優先して投資していると述べていた。また、重要度の高い成長分野については、合計10年間のスパンで考えているとも述べた。)

 辛抱強く投資を見守ることを学ぶのは高潔なことだが、「辛抱強さは、業績の悪さの言い訳にはならない」とBallmer氏は述べる。

 Ballmer氏は「最悪の賭けとは、賭けないこと」というJeff(AmazonのCEO、Jeff Bezos氏のことだと予想する)の言葉を引用した。投資分野で的確な判断を行い、2〜3年おきに製品、業務、アプローチを考慮しながら自社を再検証することで「再生」する、これはCEOにとって重要なことだという。

 どこに投資するのかを考えるにあたって、「十分に将来に備えなければならないが、過度になってもいけない」とBallmer氏は集まったCEOにアドバイスした。

 Ballmer氏は具体的な分野は明かさなかったが、Microsoftがあまりにも先のことに投資した過去がある(「WinFS」のことか?)ことを認めた。同時に、インターネットでは6カ月おきに新しいことが起こっており、製品やトレンドに迅速に参入できないと失敗するという観念も一笑した。

 「Microsoftは膨大な(製品と技術の)分野を持つが、多くのことをパスしている」とBallmer氏。

 Ballmer氏がスピーチ中に使ったスライドを紹介する。1つ目は2010年末までに揃えるMicrosoftの製品ラインナップで、2つ目は技術的観点から、クラウドで何が変わるのかを示したものだ。



 「Microsoftは大きな変化を迎えつつある」とBallmer氏はまとめる。Microsoftは2010年、「Office」「SharePoint」「Exchange」「SQL Server」などの最新版を市場に提供し、新製品リリースという点で「エンタープライズ分野では空前のチャンスが控えた1年になるだろう」とBallmer氏は述べた。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ

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