1月30日のWindows Vista一般販売開始が間近に迫った。自宅のPCで稼働しているWindowsのアップグレードを検討している人もいることだろう。また、もしあなたが会社でPCの管理を任されている立場ならば、どのタイミングで会社内のデスクトップをVistaに移行すべきか考えはじめているかもしれない。
自宅のPCの入れ替えと、企業でのPCの入れ替えでは、求められる成果が異なる。私物のPCであれば、ユーザーがそれぞれの好みに合わせて、単純に快適さを求めればよい。一方で、企業におけるPC環境の入れ替えは、個人の快適さよりも、全社の生産性向上が目的となる。
個人の快適さが上がれば、全社の生産性も上がるという考え方もあるが、実際のところ、PCを使うすべての社員がITのエキスパートであるとは限らない。意外に思われるかもしれないが、PC教室を運営している会社でさえ、一部の社員を除いて日常に必要な操作以外は知らないのが普通である。
つまり、会社のシステム担当者は、スキルの高いユーザーだけを対象にするのではなく、一般的なユーザーが無理なく新たな環境に移れるような移行計画を立てる必要がある。そもそも「なぜOSを入れ替える必要があるのか」を従業員に理解してもらうための材料も、もちろん必要だ。
今回は、Windows Vistaに限らず、会社内のデスクトップ環境を移行するにあたって考慮すべき点を、ポイントごとに説明する。
1.ラボ環境を構築する
OS移行後のシステム環境をテストとして実現する「ラボ環境」を構築することで、実環境で大きな問題が起こるリスクを、事前に回避できる。
そのため、ラボ環境には、実際に業務で使われているハードウェアとソフトウェアを用意するのが理想だ。可能であれば、ネットワーク環境までを含め、数台のPCを使ってミニオフィス環境を構築してしまうといいだろう。もし、ラボ環境に回せるほど、PCの台数に余裕がなければ、「Virtual PC」などの仮想化ソフトウェアを利用してもよい。
できれば、実際に使われているPCのハードディスクをバックアップし、リストアした状態で環境を再現したいところだ。普段、バックアップのテストを行っていても、リストアのテストはしていないというシステム管理者は多い。バックアップからラボ環境を構築すれば、移行時の障害を回復させる練習もでき、一石二鳥だ。ラボ環境が構築できたら、計画したインストールで使うバッチや手順をテストしよう。
2.移行前にパイロット運用を行う
移行後、業務に混乱があれば会社の生産性は大きく落ちてしまう。それを避けるためには、パイロット運用を行う期間を想定しておくことが大切だ。
パイロット運用では、部署ごとの典型的な移行モデルを想定し、対象となるエンドユーザーに協力を求める。新たな環境で、一連の業務を処理してもらい、発生する問題を洗い出して、その修正を繰り返す作業を行う。
3.緩やかな移行を選択する
組織全体に大きな影響を与えないようにシステムを移行していく方法は「緩やかな移行」と呼ばれ、一般的にトラブルが少ない。業務を新たな環境に少しずつ引き継ぎながら、移行していくというやり方だ。
たとえば、総務と営業と経理にそれぞれ30名のユーザーがいるとしたら、それぞれの部署を3つのグループに分けて、段階的に移行していく。1回目の移行で、総務から10名、営業から10名、経理から10名を移行し、計3回で全員の移行を終了するといった形だ。
こうしておけば、万が一、1回目、2回目の移行中に不具合が発見されても、各部署には移行前のPCが存在しているため、必要な作業を移行前の環境で行うことで、業務の停止は免れる。
4.ヘルプデスクを設置する
新環境におけるトラブルシューティング専門のヘルプデスクを任命して、トラブル情報を積極的に集めよう。
ヘルプデスクは、ボランティアとしてではなく、業務の一環として担当してもらうことが望ましい。移行期間だけの設置なので、可能であれば専任がベストだ。グループウェアなどを利用して、トラブル情報を共有することで、問い合わせの手間を減らすことができる。
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