プロジェクトが計画通りに進まなくなる原因は数多くある。例えば、タスクの見積もりが甘かったり、プロジェクトから要員が抜けたり、リソースの割り当てがまずかったりということがある。本記事では、遅れの生じたプロジェクトを立て直すための実践的なテクニックを紹介する。
プロジェクトチームで働いた経験のある人であれば、様々な要因によってプロジェクトの納期がずれ込んでしまうということを知っているはずだ。一部の作業が当初の想定よりも手間取るものであったり、メンバーの入れ替わりが激しく、新担当者の業務知識に対する習得時間が無視できないものとなったりするのは珍しいことではない。また、単に作業見積もりが甘かっただけということもあるだろう。しかし原因がどのようなものであれ、プロジェクトはあらかじめ定められた納期を守れないことになりがちなのだ。実際にそういった状況に遭遇した場合、プロジェクトマネージャーとしてまず行うべきことは、その原因を突き止めることである。原因をはっきりさせることなく対処方法を求めても、また同じ状況に陥ることになるだろう。そして次に行うべきことは、プロジェクトを立て直すための軌道修正である。
長期プロジェクトの序盤であれば、問題を解決するための選択肢は数多くあるはずだ。しかし、納期が近付くにつれて、選択肢は少なくなってくる。以下に挙げる対策を読み、あなたの状況に適用できるものを見つけ出してほしい。なお、これらの対策は優先順位の高い順に並んでいるわけではないことに注意してほしい。ある状況に適用できるものが複数ある一方で、その他のものは別の状況により適しているという場合もある。
#1:残業する
残業は皆が嫌がることであるものの、論理的に考えてみればまずは残業によって対応することになる。プロジェクトメンバーがより長い時間働けば、同じ日数でより多くの仕事を完了できるはずである。残業は、プロジェクトが終盤を迎え、すべてを納期までに完了させるために最後の頑張りが必要である場合、最善の選択肢となるだろう。また、プロジェクトの終了間際であれば、プロジェクトが完了した暁には代休を与えることもできるかもしれない。一方、プロジェクトがまだ序盤である場合、残業よりも効率的な戦略があるはずである。なお、残業という選択肢は、チームに契約社員が多く含まれている場合にコスト面での影響が出ることもある。
#2:リソースの再割り当てを行う
プロジェクトマネージャーはまず、プロジェクトを成功させるうえで最も重要となる一連の作業、すなわち「クリティカルパス」を把握する必要がある。要するに、プロジェクトが納期遅延に向かって進んでいるのは、クリティカルパス上で遅れが発生しているためなのである。クリティカルパスを把握できた段階において、他の作業に割り当てているリソースを振り向けることでその問題が解決できるかどうかを検討するべきである。これにより、一部の作業を後回しにしたり、引き延ばしたりすることでプロジェクトを立て直すことができるはずである。ただし、注意しておかなければならないことがある:特定の作業を後回しにすることで、クリティカルパスは変わってくる可能性があるのだ。スケジュールを変更するたびに、クリティカルパスが変わっていないことを入念に確認するということを忘れてはいけない。