2008年はビジネス面において波乱の多い年であった。一方、ITの世界においても、目立たぬながらも従来の戦略や標準的な業務手順を大きく変える開発トレンドがいくつか現れた。そこで以下に、影響の最も大きなトレンドを5つ紹介する。
#5:超格安PCの台頭
大手PCベンダーからさまざまな「Netbook」が発売されたことで、2008年には500ドル以下のノートPCが市場に登場した。こういった低価格小型PC(OLPCの「XO」やAsusの「Eee PC」が先鞭を付けた)はもともと、新興国市場向けの製品であった。しかし、米国やヨーロッパ、日本のコンシューマーが我先にと買い求め、驚くほどの売れ行きを見せたのであった。
Netbookはポータビリティに優れているため、数多くのビジネス旅行者が利便性に惹かれて購入している。また、Netbookの多くはIT部門によって導入されるのではなく、実際の業務に携わる従業員によって購入され、使用されている。現在における世界的な不況の高まりを受けてIT予算も緊縮傾向にあるなかで、IT部門の設備投資費を削減するための手軽な手段として、一部の業務でこういった低価格マシンに目が向けられるようになってきているのは明らかだろう。さらに、Intelの「Atom」プロセッサを搭載したデスクトップPCが2009年に登場するということで、この流れに拍車がかかっている。これによって、「Nettop」(Intelがその仕様をPDFで公開しているので参照してほしい)、すなわちコンパクトで消費電力の低い製品へと向かう流れが加速され、200ドル以下のPCやシンクライアントが発売されることになるはずだ(関連英文記事)。
#4:グリーンITによるエネルギー消費量の削減
「グリーンIT」は、ここ数年におけるIT業界において最も過度に宣伝された言葉の1つである。歯に衣を着せずに言わせてもらえば、カリフォルニア州以外のITリーダーで、このことについて時間をかけて考えた人はほとんどいなかった。しかし、2008年にはそういった状況に変化が訪れたのだ。これは、人類の活動が地球の気候に本当に影響を与えているという証拠が次々と示されているせいもあるが、エネルギーコストの上昇と、迫りくるエネルギー不足への危機感がより直接的な原因となっている。そして、数多くのITリーダーが今では省エネ対策を優先事項として挙げるようになっているのだ。
また、政府がエネルギー消費や二酸化炭素排出量に対する規制を設けるのではないかという観測も強力な動機となっている。こういった懸念すべてによって、省エネ要求の高まりに応えるような製品を発売するという動機付けがベンダーに与えられているのだ。これは、IntelやAMDが低消費電力のチップを開発したり、HPやIBM、Dellがエネルギー効率の高いサーバを発売したり、Verdiemといったソフトウェア会社が、大企業に配備されているPCの電力設定ポリシーを一括管理することで毎月数千ドルもの経費を削減できるようにするソフトウェアを販売している(関連英文記事)ことを見ても明らかだろう。