HelpstreamのBob Warfield氏が、クラウドコンピューティングの導入によって、考慮しなくても済むようになることを10個挙げている(ブログ記事)。Warfield氏の言っていることは、理論的には間違っていない。しかし、それはあくまで「理論的には」である。大企業のわずか3%しかクラウドコンピューティングを導入しておらず、残りの97%に属する企業はこういった点を考慮せざるを得ないという現状があるのである。
Warfield氏は、クラウドコンピューティングの導入によって、以下のことを考慮しなくても済むようになると述べている。
- 重複データの除去とバックアップ
- サーバの消費電力
- ハードウェアメーカーの選定
- CPUの処理能力
- 帯域幅のコスト
- ロードバランシング
- ハードウェアの監視
- 耐障害性/スケーラビリティに優れたデータセンターの構築
- 複雑なソフトウェア設定
- システムの維持に必要となる要員リソース
Warfield氏がエグゼクティブバイスプレジデントを務めているHelpstreamの場合、Amazon Web Servicesを利用しているため、こういったことを考慮する必要がないのである(詳細についてはこの記事を参照してほしい)。
一方、その他の大企業にとっての現実は以下の通りである。
クラウドコンピューティングを導入している大企業は全体の5%に過ぎず、今後12カ月の間に導入を予定している大企業の割合も3%となっている。つまり、Warfield氏の挙げたメリットを享受できる大企業は、全体の8%を占めるに過ぎないということになるのだ。
要点:クラウドコンピューティングの導入によってもたらされるメリットにばかり目を向けないようにした方がよいだろう。先陣を切ってクラウドコンピューティングを導入する企業がある一方で、それ以外の企業は導入を阻む壁に直面しているのだ。要するに、将来的にはほとんどの大企業が上記のメリットを享受できるようになるだろうが、そういった企業の割合が今後10年のうちに50%にまで達することはなさそうである。その理由は、P(ペタ)バイト単位のデータをクラウドに移行することが困難だからである。Amazonでさえ、大企業のデータをクラウドへと移行するためにスニーカーネットという「素晴らしい」手段を使っているのである(関連英文記事)。これが現実なのだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ