ITのプロフェッショナルやビジネスマネージャーとタブレットコンピュータについて話すと、最初に聞かれる質問は「クールに見えるけど、何ができるの?」というものであることが多い。この会話は、ペンを使用するMicrosoftのタブレットPCがComdex 2001で紹介されて以来のものだ。Bill Gates氏はそこで、「私は、5年以内に、これがアメリカで販売されるPCのもっとも一般的な形になると予想する」と断言している。
この予言は結局当たらなかった。MicrosoftのタブレットPCはヘルスケア、現場サービス、宿泊飲食サービスなどの業界では、一部受け入れられたものの、一般消費者を引きつけることはできなかった。
しかし、AppleのiPadや他の2010年に発売される予定の新型の端末は、タブレット端末の概念を復活させることを狙っている。これらの端末はより軽量で、薄型になっており、ペン入力ではなくタッチ入力のインターフェースを採用している。
新しいタブレット端末が成功を収めるかどうかを予想するにはまだ早すぎるが、ビジネスの世界でそれらがどのように使われるかというシナリオは簡単に想像することができる。以下では、そのようなシナリオを5つ挙げてみる。
5.200ページのビジネス文書の代わりとして使う
長大なビジネス文書は、大量の紙を無駄にする。それらの多くは、決して端から端まで読まれることはない法的な書類であることがほとんどだが、大きな業務上の契約について議論する打ち合わせでは、大量の書類は手に負えないものになる場合がある。
この種の文書の一部はすでにPDFに移行しているが、それでもそのPDFを読むためには打ち合わせにラップトップPCを持ち込む必要がある。そのことが、打ち合わせの親密さを壊してしまうこともある。タブレットコンピュータはテーブル上に平らに置くことができるため、よりオープンな議論につながりやすいかも知れない。さらに、セキュリティ上の利点もあり得る。ある企業が取り扱いに注意を要する文書を持っており、これを潜在的なパートナーと共有したいと思っているが、電子メールで送りたくはないという場合を考えよう。会社が所有するタブレット端末を使って、ゲストが長大な文書をめくってよめるようにしながら、端末上のすべてのデータはその企業の手の中にしか置かないようにするという使い方も可能だ。
4.移動の多いビジネスマンが、ビジネス関係の読書やオーディオブックに使う
頻繁に出張するビジネスマンは、出先で追いついておきたい新聞や雑誌、書籍などをブリーフケースにいっぱい詰め込んでいることが多い。それに加え、彼らはiPodに何冊かのオーディオブックやポッドキャストを入れて持ち運んだりもしている。新たなタブレットコンピューターは、もし新聞各社がNew York Timesの例に倣い、雑誌社がSports Illustratedの後に続いてくれれば、これらのメディア体験を1つに統合できる可能性がある。もちろん、AmazonやBarnes & Noble、そしてAppleのiBookstoreなどの例に見られるように、書籍については電子化は大きく進んでいる。