Microsoft Exchange Server 2003(以降、Exchange 2003)からMicrosoft Exchange Server 2010(以降、Exchange 2010)への移行はそれほど大変ではないとはいえ、しっかりした移行計画が必要となる。本記事では、移行の準備を整えるうえで知っておくべき事項について説明する。
#1:既存のサーバハードウェアがすべて利用可能であるとは限らない
Exchange 2003が32ビット版のWindows OSでしかサポートされていない一方、Exchange 2010は64ビット版のWindows OSを必要としているため、インプレースアップグレードは不可能である。このため、Exchange 2003からExchange 2010への移行には、新たなサーバを少なくとも1台用意しておく必要がある。また、Exchange組織の構成によっては、Exchange Server 2007(以降、Exchange 2007)を経由することなしにExchange 2010へとアップグレードした後、サーバコンテンツの移行を行うことで、既存のサーバハードウェアを再利用できる可能性もある。ただし、こういったアップグレードが常に可能となるわけではない点に注意してもらいたい。
#2:Exchange Serverの旧バージョンとおさらばすることもできる
移行の際にはExchange組織をネイティブモードにする必要がある。このため、Exchange 2003よりも古いバージョンのExchange Serverを稼働させている場合、使用を停止するかアップグレードする必要がある。
#3:Active Directoryに変更を加える必要がある
Active Directoryの機能レベルはWindows Server 2003以上に設定しなければならない。また、各サイトにおいて、最低1台のグローバルカタログサーバ上でWindows Server 2003 SP2以降が稼働していることを確認しておく必要がある。最後に、Exchange 2010をインストールするにあたって、Active Directoryスキーマをアップグレードしておく必要もある。
#4:要員の再教育が必要になる
Exchange 2010はExchange 2003と大きく異なっており、管理ツールさえも異なっている。「Exchangeシステムマネージャ」は「Exchange管理コンソール」とコマンドラインツールである「Exchange管理シェル」で置き換えられている。さらに、アーキテクチャの相違も考慮した場合、要員の再教育が必要となることは明らかだろう。