What's up man?
Barack Obama大統領の就任演説を覚えていますか? Obama大統領はアメリカ合衆国建国以来初めてのアフリカ系アメリカ人の大統領です。アメリカに根深く存在する人種差別や経済危機という問題の中、勇気を持って苦難と戦う姿に感銘を受ける人は少なくないでしょう。King of Popと呼ばれたMichael Jacksonが亡くなったのは、Obama大統領が就任してから数カ月後の6月25日のことでした。
以前、アメリカのヒーロー像を理解するという記事にて、病気と闘う天才ピアニストを取り上げました。私はアメリカの黒人差別問題に最も貢献したのはMichael Jacksonその人だと思っています。彼の登場で、本当にかっこいいと思わせる黒人が世界中を魅了し、人種を超えたヒーローになったのです。
ところがMichaelが亡くなった今、彼をヒーローとたたえるよりも、白くなる肌や度重なる美容整形で大きく変化していく容姿を非難し、黒人としてのプライドを捨てた裏切り者のように扱われているのはご存じの通りです。しかし実際には、現在の美容整形技術で全身の皮膚を白くすることは不可能で、病気によって肌が白色化したことが明らかになっています。にも関わらず、今でも「Michaelは黒人が嫌で手術で白くなった」と思っている人が多いのは悲しいことです。
私自身、Michaelと直接話したわけではありませんし、ましてや心の中まで理解するような親友でもありません。だから、Michaelが黒人に嫌気がさしたのかどうか、真実は知りません。しかし、出所のわからない情報や低レベルのマスコミの情報でMichaelの人生を否定するような判断だけはしたくありません。Michaelが天才ミュージシャンであったことは、否定しようのない事実だからです。
今回は、Michaelの思いを彼の作品から読み取れないかと考えました。
作品に込められたMichaelの本心
覚えていますか? アフリカの飢餓救済プロジェクト「USA for Africa」でMichaelが成しえた偉業を。黒人のルーツであるアフリカで飢餓に苦しむ子供たちのために、彼は理想論を唱えるだけでなく、行動を起こしたのです。USA for Africaがリリースしたチャリティーソング「We Are The World」の歌詞は、Michaelによるものでした。
There comes a time... When the world must come together as one
今こそ世界がひとつになるべき時が来たんだ
Michaelはミュージシャンです。彼のメッセージは、音楽にすべて託されています。私はMichaelの曲からメッセージを受け取り、Michaelに対する「黒人を裏切っている」「黒人としてのプライドを捨てた」などという批判に心が痛みました。