ここ数年、「100ドルPC」が盛んに話題になっている。2004年の秋にフロリダ州オーランドで開催されたGartnerのシンポジウムで、MicrosoftのCEOであるSteve Ballmerは、「私たち」にとってなぜ100ドルPCが必要かを論じた。Microsoftは世界の特定の地域(他の市場が飽和してきたからと言って、今後の成長が見込めるとMicrosoftが狙っている地域)において、WindowsやOfficeを低価格で販売している(場合により、低価格版では、いくつかの機能が除外されている)。
またAdvanced Micro Devices(AMD)のCEO、Hector RuizはCNET News.comのインタビューに応じ、100ドルPCの市場投入も夢ではないと発言した。Ruizはさらに、その100ドルPCはノートPCになるだろうとまで述べている。インタビューでRuizは次のように語った。「あと3年もすれば、100ドルPCは夢ではなくなるでしょう。実に多くの人が忘れてしまっているようですが、今は無料で配られている携帯電話も、初期には 3000ドルから4000ドルもしました。それと同様の展開が、コンピューティング/通信機器の世界でも起こると考えています・・・あと3年もすれば、新興市場向けに100ドルのノートPCを投入することも不可能ではなくなると思います」。だが、それなりの品質のモニターも含めて100ドルのPCなんて、本当に作れるのだろうか。
今週、VIA Technologiesが2005年秋に250ドルのPCを出荷すると発表した。VIAは低価格のPCコンポーネントを提供することで名が知られている。同社は、Intel製チップセットの代替となる安価な製品を提供したためにIntelから訴訟のターゲットとされてしまったこともある。250ドルのPCにはモニターも含まれるが、VIAは低価格を実現するために、性能面で妥協をしている。たとえば、同システムは1GHzプロセッサを搭載し(最新の製品と比べるとかなり劣る)、メモリはたったの128Mバイト、OSとアプリケーションはハードディスクではなく読み込み専用のフラッシュメモリチップに格納される(この方法で作られたPCが成功した試しはほとんどない)。このように、さまざまな点で妥協してさえ250ドルまでしか価格を下げられないのだから、ノートPCはもちろん、モニター付きのデスクトップPCを100ドルで販売するなど、到底無理な話である。
Ballmerが100ドルPCの必要性を説いた後、私は、Sunの社長兼COO、Jonathan Schwartzの提案する無料PCの方が、はるかに市場に受け入れられやすいとブログに書いた。無料PCの場合、ISPがこれをユーザーに提供し、ユーザーは(PCを購入する代わりに)サービス料金をISPに支払う、といったビジネスモデルが成立し得る。サービスプロバイダが考えなければならないのは、配布した端末1台あたりの月間平均売上高(average revenue per unit:ARPU)がいくらであれば、事業を黒字化できるかだ。無料の製品と有料のサービスを組み合わせたビジネスモデルがうまくいくことはオープンソースの分野で既に証明されている。
先頃開催されたOpen Source Business Conferenceで、Schwartzはこのモデルがあてはまるのはテクノロジーの分野だけではないと述べた。同氏はその際、自動車業界を例に挙げた。自動車に搭載するサービスパッケージだけで利益を上げられるようになれば、メーカーも無料自動車を提供するようになるかもしれないと同氏は述べる。Schwartzは、自動車メーカーの幹部らは損益の計算をすでに済ませていて、今は(GMのOnStarなどのように現在すでに利用できるサービスに加えて)どのようなサービスを追加すれば、220ドルのARPUを確保できるかを考えている、と述べた。無料自動車については今後のブログのなかで議論することとしよう。実はSchwartzの意見は驚くには値しない。損益分岐点が低ければ低いほど、企業はハードウェアを無料提供するモデルに楽に移行できる。PCの分野でハードウェアのコストを低く抑える手段の1つとして考えられるのは、演算処理能力や記憶容量をネットワーク側でまかなうシンクライアントシステムを採用することだ。
(家庭用PCに取って代わるように設計された)SunRayシステムとJavaを擁するSunは、現行のPCと同じくらいリッチなエクスペリエンスをユーザーに提供したり、同じくらい安全な環境を整備したりするうえで必要な技術を既に保有している。しかし、同社の提供するSunRayシステムはモニターなしの安いモデルでも359ドル。どうやらVIAが計画しているPCと対抗できるレベルまで、SunRayの価格を下げることは、Sunにとって難しかったようだ。
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