昨年11月に発生したムンバイのテロ、そして先週明らかとなったサティヤムの不正会計。最近のインドは非常にネガティブは話題が多い。先日、とある新年会でそのインドが話題に上ったが、議論は「赴任でインドに住めるか」というところで盛り上がった。インドとの繋がりの強いIT業界にあっては、決してありえない話ではない。まして長期出張くらいであれば、意外と身近な事である。
しかし、一度でもインドへ行ったことのある人の場合、インドだけは赴任先としては勘弁してくれという声が多い。インドへ社員を赴任させている企業でも、赴任期間は2年以内に制限しているとも聞く。インドの文化的側面に惹かれていて棲み付くというのではなく、単にビジネスで赴任するという観点でみると、確かにインドで暮らすのは非常に厳しいだろう。
未整備の公共インフラ、食文化の相違、厳しい気候、社会格差の存在、頻発するテロなど、長期間住むには厳しい条件が揃っている。しかし、「クーリエ・ジャポン」2月号によれば、インド人の暮らしは"日本人化"しつつあるのだと言う。
"日本人化"するインドの暮らし
インド的なものを求める海外からのバイアスを排除するために、「クーリエ・ジャポン」のインド特集では、インド人向けの情報ソースのみから記事を構成したという。そこで描かれているのは、「ゲーテッド・コミュニティ」と呼ばれる高級住宅地で非インド的な生活を送る中流階級の存在である。
彼らの生活は、停電や水不足、あるいは貧困や不潔さなどとは隔絶され、厳重な警備を備えた居住区内にある。そこは、高い壁と24時間の警備体制によって外部から隔絶されており、レストランやプールなどを備えた高級アパート群に上流階級の人たちだけが住む。こうしたゲーテッド・コミュニティがインドの大都市郊外に次々と建設されているという。同誌によれば、デリー近郊に18箇所、ジャイプールに14箇所、バンガロールに10箇所などだ。
こうした居住区に関する話題に加え、同誌ではカレーを離れて欧米人同様に機能食品に走るインド人、カーストを離れてインターネットで結婚相手を探す若者など、従来のインド観とは異なる変化を取り上げている。