まだ改善の余地があるバックアップ
「仮想マシンが多くなってくると手間が増える。仮想マシンとデータの両方をバックアップする必要があるからで、しかも仮想化環境はサーバを立てやすいこともあり、必ずIT管理者のキャパシティを超えてくる」
現場では一概に“仮想化=IT管理者の負担が減る”と受け止められているわけではない。それを端的に示すのが「バックアップをどうするか」という問題だ。
「物理的なリソースが限られる中で、どこまで受け入れるかが難しい」といった意見が続いた。
また、バックアップ時のツールに技術的な改善を求める声も聞かれた。
「当社は本番用の環境ではVMware Consolidated Backup(VCB)を使っていますが、VCBでマウントすると、データ容量が大きい場合に一日中回りっぱなしになるような現象が見られる」という。
仮想化と密接な関係があるクラウドの安全性は?
セキュリティについては、外部クラウドを業務利用する際の安全性の確保について、業務内容や規模などに関わらず、企業が極めて神経質になっている現状が浮かび上がった。
「法人向けにERPや自社パッケージのSaaS化を行っているため、快適な動作と同時にセキュリティ関係にもナーバスになっている」
「当社では機密情報を取り扱っているため、セキュリティが厳しく、仮想化できる範囲も限られている。特殊な暗号プログラムを使ったりもするが、セキュリティ対策と費用対効果が難しい」
より現場に即した具体的な意見も上げられた。
「当社では経営層から“クラウドは安いんだから社外に(システムを)置け”と言われる。しかし、実際にセキュアな環境を求めると決して安価にはいかない。確かに、インターネット上にはさまざまな手法があり、安さを求めれば表面上はなんとかできてしまう。しかし、そんなところへ重要なデータを置けないので、できれば内側で進めたい。データは内、アプリは外というハイブリッドの提案もあるが、それもかなりの手間を要するため、私としては自分たちの手元に置いておくのが一番安全だと思っている」
ユーザーには未知の部分も多い「仮想化のセキュリティ」
「仮想化でセキュリティが強化されるのか、それとも低下するのか」
この疑問については、さまざまに意見が分かれ紛糾した。
「社内に置いた同条件で仮想化と(物理環境を)比べると、仮想化した方がファクターを変えるからセキュリティが落ちる代わりに、何か起きた際の対処や守りやすさは向上する」という声が上がった。
しかし、一方で、
「やはり職種や業種によって違う」
「どのような状態から仮想化するのかによって、振れ方が大きく変わる」
「要素が増える分だけセキュリティは低下するが、複数の人間が管理するより、一定以上の能力を持つ管理者に集約した方がレベルを一定化できるのでは」
といった具合に、指摘や補足意見も相次いだ。
このほか、「基本的にブレードにはスイッチがあるが、仮想マシンをファイアウォールで守ろうとした時、同じネットワークだと、ネットワーク中継機器の一つであるL2スイッチで折り返してしまう。結果としてセグメントを増やす必要があるのだが、そうすると今度はネットワークが増加して管理が複雑になってしまう。こうした点をカバーできるソリューションが増えてくれると助かるね」など、現場と密着した回答も挙げられている。