Perl 6の完成は「クリスマス」
近藤: さて、ここで答えるのが難しい質問をしなければなりません。Perl 6の完成はいつ頃になりそうですか。
Wall: それを聞かれた際にいつも使っている答えが、「クリスマスには完成します」というものです。ただし、「どのクリスマスか」は特定しませんが(笑)。ただ、終わりが近づいているのは実感しています。物事は終わりが近づいてくると、いろいろなことが起き、進歩のスピードが加速します。今、我々はちょうどPerl 6をブートストラップしている段階にあります。つまり、Perl 6そのものをPerlで書き直すという段階です。Perl 6の正規表現や文法もできてきましたし、この数週間でコンパイラもつくられはじめました。
現在はPerl 6をPerl 5で書き直していますが、いずれPerl 6のコンパイラができあがったら、そちらでやりなおします。そうなればもっと多くの人が使えるようになることでしょう。
近藤: ところで、Haskell言語で記述された「Pugs」というPerl 6のプロトタイプも登場しましたね。このPugsとはどのような関係にあるのでしょう。
Wall: とても良好な関係です。Pugsのおかげで、Perl 6の仕様をテストしたり検証したりすることができます。私自身Pugsをデバッグしたこともあります。
Perl 6の開発では、私はインプリメンテーションの部分は人に任せて、自分は言語デザインに集中することにしています。というのもPerl 6にとりかかり始めた時、大勢の人が「我々はPerl 5を見てきたので、あなたがどのように言語をインプリメントするか知っています。あのようなことはもうゴメンです」と言ってきたからです(笑)。
近藤: Perl 6の特徴を教えてください。
Wall: Perl 5にもオブジェクト指向の要素は付け加えていましたが、ご存知のように非常にゆるやかで、これというオブジェクト指向プログラムの書き方が決まっていなかったため、同じオブジェクト指向のプログラムでも数十通りもの書き方がありました。Perl 6は、パワフルさと柔軟性は保ちますが、表記などの方法についてはもっと明確な方針を打ち出していくつもりです。
我々はPerl 6をひとつの言語としては捉えておらず、いろいろな言語の集合体のトップに立ちまとめるものとして捉えています。もし、その集合体にある言語のひとつを宣伝した場合、あるいは何か変更があった時、皆が合意している頂点であるところのPerl 6から、それらの言語をポイントするURLのようなものが用意されていて、簡単に参照できるようになっている--これもPerl 6の大きな特徴です。
要するに我々は、我々自身がそんなにスマートではないことに気づいたのです。自らすべての人々のすべてのニーズを満たそうとするのではなく、何かをやりたい人が、既にあるさまざまな言語を使って、やりたいことをやりたいようにできる環境を提供することが大事だと思い直したのです。
近藤: あなたは元々、言語学を勉強されていたんですよね。
Wall: そうです。コンピュータ科学者に話すときは「自分は言語学が専門ですから」と言って逃げ、言語学者と話をする時には「自分はコンピュータ科学者だから」といって逃げてきました。
近藤: これまでどんな言語を使ってきましたか?
Wall: いろいろな言語を使ってきましたよ。BASIC、C、PASCAL、ADA、LISP、PROLOG。それからPL/0のインプリメンテーションにも参加しました。
近藤: PL/0?
Wall: まだPL/1とは呼べない状態で、PL/0からPL/0.5の間くらいという段階でした(笑)。それからJAM、BASIC PLUS、非常にマイナーな分離型イベントシミュレーション言語のMODLIT。C++やJava、Rubyなども使いました。
近藤: Javaも使ったんですか!
Wall: ええ、「ドロボー」ですね。もっとも、我々言語デザイナーは皆そうですが(笑)。
近藤: 日本のPerlエンジニアに何かメッセージはありますか。
Wall: 日本のPerlファンからは、いつも「まだあのホンダ アコードに乗っているのか」と聞かれます。オライリー・ジャパンが出版したPerl本の日本語版巻頭で、私がホンダのアコードに乗っていると書いたからです。それでその答えなんですが(ニヤっと笑って)、実はそうなんですよ。今でも乗っています。
関連情報
-
LAMPのセキュリティは優秀--米でオープンソースソフトのバグ調査
オープンソースソフトウェアのなかで最も人気の高いLAMPスタックは、バグの数も最も少ないことが、コード解析ツールメーカーのCoverityらが行った調査の結果から明らかになった。 - ヤフー
「インタビュー」 のバックナンバー
-
「もはや単なる仮想化ソフトの企業ではない」--ヴイエムウェアCEO
7月にVMwareのCEOに就任したPaul Maritz氏は、過去に14年間Microsoftに在籍した人物だ。就任後初の大型イベント「VMWorld 2008」にて同氏は、VMwareの経営方針や競合となるMicrosoftに対する思いなどを語った。 -
今後の注目はSaaSと仮想化--CA IAM r12発表で目指すセキュリティ管理戦略
-
カスペルスキー会長が語る:ロシア市場、IPO、企業買収、業界再編
-
B・ゲイツ氏、MS常任会長退任インタビュー--創業期から今後まで(後編)
-
B・ゲイツ氏、MS常任会長退任インタビュー--創業期から今後まで(前編)
- インタビュー 一覧へ »
ZDNet Japan Essential Topic
-
【今注目のIT企業は何を考える…??】
オススメIT系求人情報も毎週月曜日更新! -
コラボレーション基盤特集
Notes置換とバージョンアップの情報はこちら
企画特集
-
ZDNet Japan Green IT
サミットだけでは終わらせない!エンタープライズの取り組みはこれからだ! -
Techno Exchange
RackableとCTCの地球にやさしい関係 -
グリーンITの第一歩は見える化です
経営・財務・情報システムの3つの視点から環境対応を考える -
KDDI「SaaSソリューション」
〜社内コミュニケーションの課題への解決策とは〜 -
これからの時代のセキュリティ対策
くるぞ!in the cloudソリューション -
エンタメCGM「gooメーカー☆メーカー」
【第1回】開発者に訊く!各機能と開発の狙いとは -
なぜ社内文書は無秩序に分散するのか?
真の文書管理を考える3か条に迫る!
ZDNet Japan イベント
- 開催日:2008年10月23日(木)
- イベント一覧へ»