1990年代初頭、ファイルサーバ市場に彗星のように登場したNetwork Appliance(以下、NetApp)。当時から予測していた“Data Explosion(データの爆発)”が現実となる中で一躍脚光を浴び、ストレージ分野にNAS(Network Attached Storage)という新しい市場を作り上げた。その創業者の1人であり、現在は上級副社長・最高戦略責任者を務めるJames Lau氏に、創業のいきさつや製品開発のコンセプトを聞いた。
--最初に、NetAppの創業のいきさつからお聞きします。NetAppという新しい会社で目指したものは何だったのでしょうか。
われわれがNetAppを創業したときに、1つの哲学がありました。前提になったのは「今後はデータが爆発的に増大し、データ管理の課題もますます複雑化する」という予測でした。そこでわれわれは、よりシンプルなソリューションをアプライアンス、つまり家電のようなアプローチで実現しようと考えたのです。たとえば、Cisco Systemsがネットワークインフラにおいてルーティングで実現したことを、われわれはデータを格納する部分で実現するということです。このようなアプローチによって信頼性が高く、低コストの製品を作ることができると考えていました。
今でもその哲学は有効だと思っています。しかし、われわれが解決していかなければならない問題点は、創業時よりさらに複雑化しています。データの増大や規制要件、災害復旧の要求というものは、創業時にわれわれが想像した以上のものが要求されています。
--現在、NetAppはストレージ・ベンダーというイメージですが、創業時はソフトウェアの会社だったようですね。
創業時は、わずか3人のソフトウェア技術者でスタートしました。われわれの創業時の哲学は、先ほどのものに加えてもう1つあり、それは「技術の進歩やPCの発展状況を活用し、ソフトウェアに集中することで、他のアプローチ以上に大きな差別化を生み出せるであろう」ということでした。今でも、市販されているPCのコンポーネントをベースに事業を進めています。
現在、われわれの企業規模は大きくなり、カスタマイズされたハードウェアも手掛けるようになりました。I/Oインフラが大規模化し、市販のPCサーバを越えた性能が求められるようになってきたからです。しかし、今でもわれわれの投資は、その90%以上がソフトウェアイノベーションに関するものに充てられています。
われわれの哲学は創業時から不変です。それは、「より複雑な問題に対してシンプルなソリューションを提供する」ということです。
ファイルサーバからストレージへ
--NetAppは、それまでのDAS(Direct Attached Storage)市場に対し、新しいNAS(Network Attached Storage)という市場を提唱しました。
創業時、われわれはNASにフォーカスしていましたし、具体的な顧客として想定していたのはUnixのソフトウェア開発者とCADのエンジニアでした。ですから、創業時に競合と考えていたのはUnixファイルサーバのベンダーであるSun MicrosystemsやHewlett-Packard(HP)などでした。
1990年代初頭、Unixファイルサーバのディスクシステムは、信頼性に乏しいものでした。ディスクシステムにエラーがあったり、ソフトウェアがクラッシュしたりした場合には、相当な時間をかけてファイルシステムのチェックを行わなければなりませんでした。
われわれはそのようなお客様の課題に着目し、独自OSである「Data ONTAP」でのファイルシステム設計に取り組んだのです。RAIDを、ロックされた構造を持ったファイルシステムの中に取り込むことで、より高い信頼性を実現しながら、性能を犠牲にすることなく、しかもファイルシステムを高速にチェックできることを目指したわけです。
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