やんちゃ坊主のWinnyから脱却--配信基盤「SkeedCast 2」を金子氏に聞く

小山安博 冨田秀継(編集部)

2010-06-15 12:00

 ドリームボートが開発するP2P型コンテンツ配信プラットフォーム「SkeedCast 2」には、ファイル共有ソフト「Winny」で知られる金子勇氏が開発に参加しており、氏による新たな技術も投入されている。

 2009年11月には特許も取得しており、よりセキュリティに配慮したプラットフォームになっているという。今回、そのSkeedCast 2について、ドリームボートに話を聞いた。

やんちゃ坊主のWinnyを優等生に

金子勇氏 金子勇氏

 SkeedCast 2は、P2P技術で大容量のコンテンツを配信するためのASP型配信プラットフォーム。大容量データを高速に配信し、DRM(デジタル著作権管理)や課金システムなどを備え、セキュアに配信できるようにしている。

 今回新たに取得された特許はセキュリティに関する部分で、デジタル署名と鍵認証システムを応用した技術。ドリームボート取締役の壇俊光弁護士によると、「SkeedCast 2の基本メカニズムであり、根本的な技術の特許」だという。

 SkeedCastは、最初のコードこそ金子氏のWinnyがベースとなっていたが、「応用が利かないものだった」(金子氏)ため、SkeedCast 2ではモジュール化を進め、汎用性が高くなるように一から開発し直したという。

 当初は動画配信を中心としていたが、ニーズの拡大に従ってゲームや写真などのデータ配信にも使えるように工夫を入れている。特に強化されたのが、コンテンツを配信する際に、コンテンツプロバイダー(CP)自身がコンテンツを配信できるようにした点だ。

 従来のSkeedCastは、ドリームボート自体がコンテンツを配信することになっていたが、SkeedCast 2では管理権限を委譲できるようにし、それによってCPが直接コンテンツを配信できるようになった。

 「SkeedCastはWinnyをベースにしていたが、商用向きのシステムとして工夫をして、使われている技術を見直した」(壇弁護士)のがSkeedCast 2の特徴。Winny自体は「冷静に(コードを)見ると“使える”部分が多かったので、そこを改良し、“やんちゃ坊主”(Winny)を“優等生”(SkeedCast)にしようとした」(同)そうだ。

セキュリティは「やり過ぎと言うぐらいやった」

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Google Chrome Enterprise が実現するゼロトラスト セキュリティの最新実情

  2. セキュリティ

    ブラウザの可能性を Google Chrome Enterprise で追究、セキュリティ実現には?

  3. ビジネスアプリケーション

    NTTグループが17万ユーザーの決裁システムを抜本的に改革、プロジェクトの鍵を握るサービスとは

  4. モバイル

    目前の「Windows 10」サポート終了、「Windows 11」への移行負担を解消する最適解とは

  5. ビジネスアプリケーション

    ITSM徹底解説!ビジネスに関わる全ての方へ--「ITSMクイックスタートガイド」

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]