JJUGによるクロスコミュニティセミナが初めて開催
8月21日、日本Javaユーザグループ主催 (JJUG) による「クロスコミュニティセミナ 第一回 IDE」が開催された。
日本Javaユーザグループは、「コミュニティのコミュニティ」を標榜し、コミュニティ同士の活発な交流を促進し、日本のJava技術の発展や開発者の支援を目的とする団体。
今回は、「クロスコミュニティ」イベントとして開催された初のセミナー。IDEコミュニティに的を絞り、数あるJava IDEの中でもEclipse、NetBeans、JDeveloperに関して、エキスパートによる説明とデモンストレーション、質疑応答が行われた。
プラグインの数と、配慮の行き届いた操作感が魅力のEclipse
最初に紹介されたIDEは、現在圧倒的なシェアを誇るEclipseだ。登壇したのはNTTデータ先端技術の竹添直樹氏。
竹添氏は、6月末にリリースされたばかりの新バージョン3.3の新機能を中心に取り上げた。
プラグインのセットが初期状態から提供されることによりインストールが楽になったこと、リファクタリングやデバッガの改良点、Ctrl+3 というショートカットによって呼び出せるクイックアクセス機能など、大小様々な改良点を紹介。
デモンストレーションとして、Eclipse3.3からデフォルトで利用できるようになった「Mylyn」の操作を行った。「Mylyn」は、以前は「Eclipse Mylar」として開発が行われていた「タスク指向UI」を実現するプラグインだ。「タスク指向UI」とはなかなか分かりにくい概念であるが、簡単に言うと、開発に伴う様々なタスクとプロジェクト内のリソースを関連付けておくことができるものだ。タスクを切り替えるだけで、関連するリソースが絞り込まれて表示されるため、各タスクで修正すべきファイル、以前修正したファイルなどが明確になり、作業へ取りかかるための労力も軽減される。
JIRAやTracなどの著名なタスク管理システムとも連動するので、使いようによっては、開発プロセスの中心的なツールになる可能性も秘めている。
GUIビルダー、Ruby対応の優位が際立つNetBeans
次に登場したのは、最近GPLv2とのデュアルライセンス化が話題になったNetBeans。登壇したのはきしだなおき氏。
きしだ氏は手書きのスライドで、NetBeansの利点を簡潔に紹介。以下の画像を見ていただければ、NetBeansの持つ強みが一瞬にして理解できること請け合いだ。
NetBeansは、こうした利点においてはEclipseよりもかなり使いやすいと強調。特にGUIビルダーとRubyに関してはかなりの強みを持っており、その機能を使うためだけにNetBeansを起動する開発者も少なくないという。
同氏は、WYSIWYGな開発環境が整備されていることによる生産性と敷居の低さから、Java開発者が.NETに移行している流れがあることを指摘。Javaプラットフォームでも、早急にそうした開発環境を整える必要性があることを訴えた。そうした流れを踏まえて、同氏のデモンストレーションはNetBeansのGUIビルダーのみを用いて (一行もコードを書くことなく)、データベーステーブルの内容をSwingアプリケーション、Webアプリケーションに表示するというものであった。NetBeans外生成するコードはJava 7への導入が検討されている「JSR 295: Beans Binding」を利用しており、同フレームワークの利用によりデータとUIの同期が簡単に行えるようになることを実証してみせた。