後藤康成の戦略

  • 後藤康成
    後藤康成 (フィードパス株式会社 取締役 CTO)

    ウェブアプリケーション開発でのVHD活用シナリオ

    VHDはMac OSでいうdmg?

     僕は日常的にWindowsを利用していないことから、VHDについては馴染みが薄いが、Mac OSでいう.dmgの概念と同じようなものとして捉えるのがよいようだ。フィードパスではウェブアプリケーション中心の開発を行っていることから、ウェブアプリケーション開発でのVHDの効果的な利用方法について考えてみた。

    Linux環境でVHDマルチブートは可能か?

     Linuxは多くのディストリビューションや、カーネルバージョン、64bit/32bitなどが存在するために、VHDイメージでのマルチブート環境が実現できれば、ウェブアプリケーションプログラム開発プロセス、中でもQAプロセスの生産性向上が期待できる。しかし、調査したところ、どうやらWindows 7およびWindows Server 2008 R2以外のOSでマルチブートは実現できないようだ。

     これは、Linuxではよく知られているLILOやGRUBなどのブートローダーとVHDのアーキテクチャが相違していることによるものだ。VHDブートはハードウェアで対応しているものではなくソフトウェアで対応していることから、ベースとなるOSがVHDの取り扱いを知っていて、起動OSがVHDから起動していることを理解している必要があることから、VHDブートに対応しているWindows 7、Windows Server 2008 R2以外のOSブートは実現できないようである。アーキテクチャの違いなので仕方がない。

    開発プロセスでは動作確認テストが効率的に

     次にアプリケーション開発プロセスに注目してみた。IISやAplacheなどのウェブサーバ、TomcatやJettyなどのアプリケーションサーバ、SQLサーバ、MySQLデータベースなど、複数のミドルウェアに対応するウェブアプリケーションを開発する場合、それぞれのバージョンを含めると、その組み合わせは膨大な数になる。物理サーバ上で動作確認環境を構築するのは現実的ではない。これらのミドルウェアの組み合わせをVHDイメージで持つことで、1サーバ(あるいはコンピュータ)で動作確認環境が実現でき、ウェブアプリケーションの動作確認テストが効率的になることに加えて、テスト環境に投資するコストも低減される。

     現在ではデスクトップPC並のハードウェアパフォーマンスのノートPCがあることから、VHDの利用により、ノートPC上のWindowsプラットフォームで、効果的なQA環境が実現できるであろう。

    後藤康成(フィードパス株式会社 取締役 CTO)

     シリコンバレー・ベンチャーを経て2000年ネットエイジ入社。ネットビジネスのインキュベーション案件およびテクノロジー投資案件などを担当。技術開発担当取締役、ngi group執行役CTOを歴任。

     2005年クラウドにビジネスアプリケーションを提供するフィードパスを設立する。Zimbraの日本市場展開、feedpath Calendarなどを担当。

     著書に「Web2.0 BOOK」(インプレス、共著)など。自身のブログはBlogot、Twitterアカウントは feedpath

各賢人の意見はこれだ!
  • 横山哲也
    横山哲也 (グローバルナレッジネットワーク株式会社 取締役技術担当)

    VHDは仮想マシンのオマケ?否、主役になる可能性がある

     私はいくつかの媒体に技術記事を寄稿しているが、仮想マシンの検証にはずいぶん苦労する。ほとんどの機能は「Virtual PC」などの仮想マシンを使って検証を行うのだが、「Hyper-V」を含めた仮想マシンの検証だけは、仮想マシンではできない...(続きを読む)

  • 新井悠
    新井悠 (株式会社ラック サイバーリスク総合研究所 所長)

    マルウェア解析でも効果を発揮する仮想化テクノロジ

     筆者は仕事柄、マルウェア解析という作業を行うことがあります。その言葉の響きとは裏腹に、これは非常に地味な作業なのです。大量のアセンブラ命令を追い、その検体がいったいどのような感染動作を行うのか?などを、なるべく短時間に明らかにし...(続きを読む)

  • 後藤康成
    後藤康成 (フィードパス株式会社 取締役 CTO)

    ウェブアプリケーション開発でのVHD活用シナリオ

     僕は日常的にWindowsを利用していないことから、VHDについては馴染みが薄いが、Mac OSでいう.dmgの概念と同じようなものとして捉えるのがよいようだ。フィードパスではウェブアプリケーション中心の開発を行っていることから、ウェブアプリケーション開発でのVHDの効果的な利用方法について...(続きを読む)

  • 小山安博
    小山安博 (フリーランスライター)

    VHDのいいところはパフォーマンスが優れている点

     IT系の仕事をしていて、普段は使わないけど、意外に必要になってくるのが複数のOS。ソフトウェアを検証する際に、インストールは必要だけど検証のためだけに仕事の環境に導入したくない。そういったことがままあるからだ。

      そういうとき、WindowsであればVirtual PC、MacならParallels Desktopを使って...(続きを読む)

  • 吉田 実央
    吉田実央(けろ-みお) (株式会社アロウズテクノロジーズ)

    VHDの活用で削減できるコスト、できないコスト

     VHDのような仮想ディスクを導入した場合、削減可能なコストとしては、テストや動作検証を行う際の作業工数:作業効率UPに伴う人件費削減、ハードウェアの導入費用:初期費用の...(続きを読む)

  • 新野淳一
    新野淳一 (「Publickey」 Blogger in Chief)

    仮想環境では試せない性能テストも容易に

      仮想化技術の普及で仕事が楽になったものの1つが、アプリケーションの動作テスト環境の構築であることは間違いないでしょう。さまざまなOSのバージョンに、さらにパッチのバージョンを組み合わせ、その上クライアント/サーバ型のソフトウェアであれば、さらに複数のデータベースのバージョンを組み合わせたりと、多数の環境を用意するには、物理的なマシンやハードディスクで環境を...(続きを読む)

  • 海上忍
    海上忍 (フリーランス ITジャーナリスト)

    コストと気持ちの両方に効くVHD

     Windows 7とWindows Server 20008 R2でサポートされた「VHD」、便利に活用しています。自分でイメージを作成する場合は、固定長と可変長のどちらを選択するかでパフォーマンスが多少異なるなど、運用にあたってのノウハウが必要となりますが、Microsoft TechNetで配布されている評価版ソフトウェアを利用するかぎり、ただマウントするだけですから、造作はありません。

     エンドユーザーの立場で考えた場合...(続きを読む)

  • 甲元宏明
    甲元宏明 (株式会社アイ・ティ・アール)

    インストールという付加価値のない作業からの開放

     Windows Server 2008 R2およびWindows 7で、ブート可能なVHDが使えるようになったのは...(続きを読む)

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http://japan.zdnet.com/extra/windows7_panel_200912/story/0,3800102051,20406477,00.htm
【識者に聞く】期待の仮想ディスクフォーマット「VHD」、あなたならどう使う?
企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部