吉田実央(けろ-みお)の戦略
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VHDの活用で削減できるコスト、できないコスト
仮想ディスクを導入して削減できるコストとは?
VHDのような仮想ディスクを導入した場合、削減可能なコストとしては、
- テストや動作検証を行う際の作業工数:作業効率UPに伴う人件費削減
- ハードウェアの導入費用:初期費用の削減、資産の有効活用、エコ対策
- 運用コスト:ニーズの即対応における作業工数および人件費の削減、リスクの軽減
- サポートコスト:顧客と同一環境を用意し、ソリューションサポートを行う場合のコスト削減
- リソースコスト:リソースの管理工数に関わるコスト削減
などがあると思います。その一方で減らすことができず、従来通りかかってしまうコストとしては、
- 環境構築に関わる作業工数:OSやソフトウェアのインストール、ネットワーク設定等
- OS、ソフトウェアのライセンス費用:たとえばWindows系OS、Microsoft Office製品、ウイルス対策ソフト等
- VHDやOSに起因するトラブル対応工数:たとえばブルースクリーン画面発生時
が挙げられると思います。
費用対効果は対象を明確化してから
仮想ディスクの利点と欠点を理解し、活用しているソリューションと現在の保有している資産を照らし合わせながら、具体的に何をどのくらいまで削減したいのかを検証することが最も重要だと考えています。
例えば、1人の社員が複数の端末を使用している企業の場合、端末を1本化することでハードウェアに対する導入および保守費用、もしくはハードウェア保証に関わる保険料のコストを抑えることができます。一方で、ソフトウェアのライセンス費用を抑えることを検討している場合は、仮想ディスクの採用は適さないと言えると思います。
仮想ディスクを採用することで得られる費用対効果はどれぐらいなのか?については、所有しているIT資産の数、種類を見極め、削減対象を明確にしてから、仮想ディスク採用がもたらすコスト削減数値を試算する必要があります。また、「Dynamic Data Center」に代表されるような仮想化技術を適用した場合、運用監視方法を確立できるかどうかもコストに大きく左右します。
例えば、リソース保護を目的とした運用を行う場合、RAIDのようなミラーリング方式を導入しなくても、仮想ディスクに対してリソースを同期させる仕組みを導入することも不可能ではないため、ハードウェア費用だけではなく、運用コストも抑えることもできると思っています。
このように仮想ディスクは今後、様々なビジネスシーンで活用されるケースが増えてくると思います。アロウズコンサルティング、アロウズテクノロジーズでは、プラットフォームの枠を超えた仮想ディスクの活用を推進していきたいと考えております。
吉田実央(株式会社アロウズテクノロジーズ)
2009年12月まで、フリーのITエンジニア/テクニカルライターとして従事したの ち、2010年1月に株式会社アロウズテクノロジーズに入社。主にDynamics CRMやASP.NETを活用したソリューション構築を手がけている。Microsoft MVP for ASP/ASP.NET (Jan 2008 - Dec 2009 )保持者。
オンラインでは、「けろ-みお」もしくは「kero_mio」のハンドル名で活動している。技術系コミュニティである「techbank.jp」を運営するかたわら、同サイト内において、マイクロソフト製品、.NET系プログラミングに関する技術情報を発信している。
主な著書は「はじめてのVisual Studio 2008 (TECHNICAL MASTER)」(秀和システム)、「Microsoft .NETで考察するエンタープライズソリューション構築概要」(EnterpriseZine/翔泳社)、「サーバーサイドスクリプト500の技」「C/C++ 300の技」(技術評論社:共著) など。
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