アップルが過去1年間に買収した10社--WWDCを前に振り返る

David Gewirtz (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2019-06-03 13:45

 Appleの市場価値は、2018年にごく短期間だが1兆ドルを超えた。しかし同社の規模を考えると、これまでに買収してきた企業の数は比較的少ないと言ってよいだろう。Crunchbaseの統計によると、Appleが1976年の創業からこれまでに買収してきた企業の数は(本稿執筆時点で)106社、1年あたりの平均で2.5社となっている。

 これに対してMicrosoftは1975年の創業以来、平均すると毎年5社(合計219社)を買収してきている。また、Google(現在ではAlphabet傘下)は20年少し前となる1998年に創業して以来、現在に至るまでに233社、平均すると毎年11社を買収してきている。

 もちろん、これら3社はいずれも、長年にわたって成長を続けてきており、大規模な企業ほど買収件数も多いという傾向がある。Appleの場合、創業からこれまでに買収した企業の数は年平均で2社強にとどまるとはいえ、過去12カ月の間に、われわれの知る限り10社を買収している。

 同社の年次開発者会議「Worldwide Developers Conference(WWDC)2019」が米国時間6月3日に開催されようとするなか、この話題は特に適切なものとなる。WWDCは、「iOS」や「MacOS」向けの新機能が披露される、言わば晴れ舞台だ。過去を振り返ってみると、WWDCで公にされた新機能はほとんどとは言わないまでも、買収によって直接生み出されたものとなっている。

 最も分かりやすい例は「Siri」だろう。Siriは、SRI Internationalの関連会社で働いていた開発者らによって2010年に創業された企業だ。Siriは「iPhone」向けアプリの開発を手がけていた。そしてAppleは2011年10月に開催したiPhoneの年次イベントで、SiriをiOSの一部として発表した。

 またAppleは2015年に、映画「スター・ウォーズ」シリーズで用いられたこともあるモーションキャプチャ技術を手がけるFaceshiftを買収した後、その技術をiOSの「アニ文字」機能に組み込んだ。さらにAppleが2017年に買収したWorkflowの持っていたiOS向け自動化アプリは、「Siriショートカット」となり、2018年のWWDCで発表された。

 Appleがこれまでに実施した最大規模の買収は、2014年のBeats Electronicsだ(Beatsは現在でも自社ブランドのヘッドフォン製品を販売している)。当時の大方の見方は、Beatsの楽曲レーティングソフトウェアが「iTunes」の楽曲販売に活用されるというものだった。しかし実際は、Beatsの技術と、音楽業界につながりの深い同社創業者らからの助言によって、「Apple Music」という新たなサービスが生み出され、2015年のWWDCで発表された。それ以来、Apple Musicは素晴らしい成功を収め、現在では5000万人以上の有料会員を抱えるまでになっている。

 では、この1年はどのような状況だったのだろうか?Appleがどういった企業を買収し、将来の製品やサービスに取り込もうとしているのだろうか?それらを見ていくことにしよう。

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