多くのCIOやそのチームは、ビジネスのペースが加速している現状に対応するために、機動性を高めようとしている。これは、人間とテクノロジーが複雑に絡み合う上昇スパイラルに乗って進歩した結果だ。決まったビジネスモデルの中では、機動性の向上は優れたデリバリー戦略だと言えるが、Forrester Researchの調査は、企業がテクノロジーと人間のループを描きながら進歩していく環境で先行し続けるためには、積極的に自らのあり方を問い直して、適応していく必要があることを示している。
これらの適応力の高い企業は、今後機動性だけしか取り柄がない企業を圧倒していくだろう。適応力の高い企業は、将来のチャンスを探し出し、積極的に自らを再構築していくことによって勝利を手にする。Forresterが最近実施したオンラインイノベーションに関する調査によれば、高度な適応力を持つ企業は、業界平均と比較して売上高の伸びが3.2倍大きかった。一方で、適応力が低い企業はまったく成長していない。
機動性は基礎として必要だが、この水準の成長をおさめ、将来の市場を引っ張っていくには、適応力の高い企業がさらに適応力を高めていく必要がある。ここでは、レポートの中からそのためのポイントを3点紹介したい。
- 洞察に基づいて行動する。適応力の高い企業は、将来の顧客の需要を満たす可能性を高める洞察に基づいて、ビジネスのコンセプトを変えている。 例えば、米国の薬局・コンビニエンスストアチェーンのCVSは、顧客のセルフサービス医療や診療所ベースの医療への需要を競合他社よりはるかに早い時期から理解し、MinuteClinicを買収することで、美容雑貨から処方薬ビジネスへと舵を切った。同社はその信念をさらに推し進め、Aetnaなどを買収し、自らを医療業界の有力企業に変革しようとしている。
- プラットフォームを活用して新たな価値を提供する。技術的な進歩は変化へのハードルを下げるため、技術的に洗練されている企業ほど、新たなビジネスモデルに移行しやすい。Mastercardは、ビッグデータアナリティクスプラットフォームの構築に関して、競合他社よりもはるかに先行していた。今日では同社は、その技術プラットフォームを活用して、詐欺対策ソリューション、B2B決済、「Mastercard Track」のようなビジネス最適化サービスなどにも中核事業を広げている。
- 変化を受け入れる企業文化を育てる。適応力の高い企業は、新たなビジネスモデルを素早く取り入れていくため、従業員には精神的な柔軟性と変化を恐れない態度が必要になる。 Netflixはプラットフォームの例として使われすぎている感があるが、Forrester Researchは、今では有名になった同社の「5つのルール」に現れている文化が、同社の適応性の高い企業文化を作ったと考えている。Netflixは、従業員の意欲を高めることで、時代遅れのレンタルビデオ郵送サービスからストリーミングのパイオニア企業になり、今ではオリジナルコンテンツの制作まで手掛けるようになった。
企業の適応力という考え方は、わが社のCIOを対象とした調査の中心テーマの1つだ。このテーマは、テクノロジー主導のイノベーションと仕事の未来という2つの調査の流れを結びつけるものであり、洞察力やデジタルプラットフォーム、アジャイルデリバリーなどのほかの多くの重要なテーマにも関わっている。これは、Forrester Researchが掲げている、未来に向けたビジネスの優越性を獲得するための先進的なコンセプトだ。 あなたの会社に「適応力」はあるだろうか?
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。