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IBM Think

日本のデジタル変革は第2フェーズに移行している--日本IBMの山口社長

國谷武史 (編集部)

2019-06-18 16:05

 日本IBM主催の年次イベント「IBM Think Summit」が6月18日、都内でスタートした。4日間の会期中は述べ4000人以上が来場する見込みで金融や製造、流通など業種別とテクノロジーやビジネスをテーマに多数のセッションが行われる。初日の基調講演で代表取締役社長の山口明夫氏は、日本企業のデジタル変革への取り組みが第2フェーズに入りつつあるとし、同社の施策を紹介した。

 同イベントは、前回まで都心のホテルなどを会場に2日程度の会期で行われてきた。今回は、5月に山口氏の新たな経営体制がスタートした意味合いも込め、会場を東京・天王洲アイルの倉庫を改装したイベントスペースに変更。山口氏は、その狙いを日本IBMの変化へのチャレンジと語った。会場はやや手狭になったが期間を大幅に延ばし、顧客企業に応じたデジタル変革への同社の取り組みを提案する機会と位置付ける。

日本IBM 代表取締役社長の山口明夫氏
日本IBM 代表取締役社長の山口明夫氏

 デジタル変革は世界的な潮流だが、個々の領域ではさまざまな国や地域がリードしている。例えば、ドローンを使った物流の実用化を2018年にアイスランドが世界に先駆けて開始し、産業用ロボットの導入率は韓国が世界トップだという。山口氏は、日本はそれらに比べて遅れているとの認識を示す一方、これから伸びる潜在的可能性に恵まれているとも述べた。

 加えて、2018年に経済産業省が発表したレポートも引用。これは、日本企業が基幹系業務システムなどのレガシーシステムを近代化するなどのデジタル変革をしなければ、2025年以降、毎年12兆円もの経済損失が生じると提言したもので、「2025年の崖」とも称される。

 山口氏は、「この危機を多くの日本企業が認識し、各所でデジタル変革とビジネスのイノベーションに向けた取り組みが進む。そこでは個社の施策は限りがあり、社外のアイデアやコラボレーションを組み合わせて加速させることで、(世界の先端に)進んでいく」とした。

 同氏が示すデジタル変革には3つのフェーズがあり、現在は第2フェーズに入り始めた状況という。第1フェーズは、人工知能(AI)などを試し、理解する概念実証(PoC)などの状況になる。「業務の20%がデジタル化されたとのデータを確認しているが、残る80%は企業の中に眠ったまま。これを活用して攻めていくのが第2フェーズ」(山口氏)とする。その先は、企業の枠組みを超えた社会全体での大きな変化が第3フェーズになるという。

 この第2段階において山口氏は、「3+1のお約束」と題する顧客へのアプローチを示した。1つ目は「デジタル変革の推進」で、デジタル変革にまつわる状況を7層のマトリックスに落とし込み、顧客企業の施策がどこに位置するのかを可視化する。“デジタル変革のジャーニー(旅路)”ともいうべき道のりを同社が顧客に示すことで伴走型のサポートを行っていくとした。ここで同氏は、Red Hatの買収にも触れ、「2021年には9割の企業がクラウドを利用し、うち7割はクラウドの管理に課題を抱えると予想している。Red Hat買収は“クラウドフリー”なアプローチで顧客をサポートするため」と述べた。

 2つ目は、先端技術による新規ビジネスの共創だという。同社ではコグニティブ技術のWatsonから量子コンピューターの「IBM Q」に至るまで今後のデジタル世界を支える技術開発を推進しているとしつつ、それをさまざま企業によるエコシステムを通じてビジネスにすることが重要だと説く。山口氏は一例として、ミツフジやワコール、ピーチアビエーションと取り組み、ウェアラブルデバイスとIBMクラウドを利用した客室乗務員の働き方改革に触れた。

テクノロジーとビジネスとエコシステムを結び付けることがキーポイント
テクノロジーとビジネスとエコシステムを結び付けることがキーポイント

 3つ目は、これらテクノロジーとそのビジネス利用を推進する人材の育成。同社では、4月から学校や教育委員会と連携した若い世代のITやAIのスキル向上を支援する施策を開始した。同時に日本IBM全社員に対しても、開発やデータ活用のスキルを再学習する取り組みをスタート。顧客企業のデジタル変革に対応する上では、同社の人材そのものがそれを実践できるようにならなければならないとの考えからであるようだ。

 最後の「+1」は、AIの信頼性と透明性の向上になる。よくAIの判断根拠が人間にとって理解不能に陥る「ブラックボックス」などの問題が指摘されるが、そもそもAIが学習するデータも開発されるアルゴリズムも人間の経験あるいは思想といったものが根拠になっている。AIがこれからの社会にもたらす効用が有意義で信頼できるものとするためにも、同社では入力データから出力までの一連の流れの中で常にその状況をモニタリングし、AIが人間社会にとって“間違い”“有害”なアウトプットをしないよう取り組む。

日本IBM 執行役員 開発担当の森本典繁氏
日本IBM 執行役員 開発担当の森本典繁氏

 基調講演の中ではこの点について執行役員 開発担当の森本典繁氏が、「AIのバイアスを回避すべくデータのバランスや品質を絶えずチェックしている」と説明。この他にもAI活用をより広範なものとする研究開発において、アルゴリズムやハードウェアにも注力しているとした。アルゴリズムの進化では、2月に米国サンフランシスコで開催したイベントで人間とのリアルタイムのディベートを実演。ハードウェアでも人間の脳神経系を模したニューラルネットワーク回路やIBM Qなどの開発を進めている。

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