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記事まとめ「テレワーク常態化で見えたこと」
松岡功の「今週の明言」

日本IBM新社長が示した「現状に対する危機意識」

松岡功

2019-06-07 10:58

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、日本IBMの山口明夫 代表取締役社長執行役員と、インターネットイニシアティブ(IIJ)の喜多剛志 ヘルスケア事業推進部長の発言を紹介する。

「今はトランスフォーメーションの真っ直中。その先は必ず前進する」
(日本IBM 山口明夫 代表取締役社長執行役員)

日本IBMの山口明夫 代表取締役社長執行役員
日本IBMの山口明夫 代表取締役社長執行役員

 日本IBMは6月5日、5月1日付で代表取締役社長執行役員に就任した山口明夫氏の記者会見を開いた。同氏の冒頭の発言はその会見で、IBMの現状について聞いた筆者の質問に答えたものである。

 会見内容については関連記事をはじめ他稿に委ねるとして、ここでは社長交代の発表時に、筆者が本サイトの連載「一言もの申す」の4月18日掲載記事「何が起きたのか、日本IBM社長交代の舞台裏」で書いたIBMの現状を踏まえた話を取り上げたい。

 同記事に書いたIBMの現状とは、グローバルの売上高の推移として2018年度(2018年12月期)で長い低迷からようやくプラスに転じたと思いきや、2019年度第1四半期(2019年1〜3月)にまたマイナス成長に陥ってしまった状況のことである。事業ではWatsonなどの人工知能(AI)やクラウドが成長株だが、まだ全体をプラス成長へ押し上げるほどの規模にはなっていない。

 実は、山口氏が日本IBMの社長に就いたのも第1四半期の決算が発表された直後だった。その背景も上記の記事に記してあるのでご覧いただくとして、そうした状況に対して、山口氏がどれほどの危機意識を持ち、成長軌道に乗れない現状をどう打開しようと考えているのか、について会見で聞くことができるだろうと、筆者は期待していた。

 だが、図に示したIT活用の変遷において、IBMはいつの時代も支え続け、これから先の社会全体のデジタル変革も引き続きIBMが支える、といったコンサルタントのような話はあったものの、現状に対する危機意識を感じさせるような発言はなかった。

図:IT活用の変遷
図:IT活用の変遷

 そこで、会見の質疑応答で「グローバルIBMとして未だ成長軌道に乗っていない。AIもクラウドも全体の成長を牽引するほどの事業規模になっていない。IBMはこのまま沈んでいくのではないか」と単刀直入に聞いてみた。すると山口氏は「なかなか厳しいご質問ですが」と前置きしながら、次のように答えた。

 「AIやクラウドは引き続き高い成長を続けており、そのうち全体を牽引する事業規模になるだろう。SI事業はデジタル化などの影響もあってシステム案件が細分化しており、売上高への貢献にはその傾向が影響しているかもしれない。いずれにしても、IBMは今トランスフォーメーションの真っ直中。その先は必ず前進する。そして、将来のデジタル社会を支え続ける企業になれるように精進していきたい」

 「厳しい質問……」は余計だと思うが、こんな質問にもこれまでと表情を変えず話す姿に「ポーカーフェイスでタフ」との印象を持った。経営者としては大事な資質だ。「メディアの皆さんとは、これから密にコミュニケーションし、IBMをさらに理解していただきたい」とも。大歓迎である。

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