Dell Technologiesは1月28日、RSA事業に関する報道機関向け説明会を開催、日本国内での事業強化方針等を明らかにした。
EMCジャパン 執行役員 RSA事業本部 ゼネラルマネージャーの貴島直也氏
EMCジャパン 執行役員 RSA事業本部 ゼネラルマネージャーの貴島直也氏は、RSAのミッションを「企業の成長促進の要である『デジタルリスクマネジメント』を指針とし、3つの視点で社会に貢献」していくことだとした上で、3つの視点として「企業が推進するデジタルトランスフォーメーションに潜むリスクの可視化」「AIの導入およびインシデント対応の自動化を推進しサイバー攻撃分析の省力化」「多様化する本人認証強化方法への対応」を挙げた。
また、日本国内での事業の強化に関して同氏が反省を込めて振り返ったのは「情報発信が下手だった」という問題で、これを踏まえて同氏が掲げた方針が「悪意ある組織の高度化に対応するためにユーザーとのデジタルリスク情報共有の強化」というものだ。サイバー犯罪者らは“ディープウェブ”や“ダークウェブ”といった場での情報共有/コミュニケーションを積極的に行っている一方、守る側の企業は「自社のセキュリティ関する詳細情報を外部に公表できない」「セキュリティインシデントなどの情報を公開すると自社の評判に傷が付く」といった考えから情報公開/共有に消極的になる例が少なくなく、結果としてコミュニティーの力を結集して高度な攻撃を仕掛けてくるサイバー犯罪者に対して各社がそれぞれ独力で対抗を試みるという不利な状況に陥ってしまっている。
こうした状況を改善するための取り組みとして同社ではまず日本国内でのユーザー会開催などから着手。その成果はまずまずで、国内でもユーザー企業の意識が変わり始めていることが感じられたという。その他、人員の増強やサービス体制の強化などの施策を通じて国内事業の強化に取り組むとした。
さらに同氏は、グローバルで実施されたデジタルリスクマネジメントに関するユーザー意識調査の結果を紹介し、「デジタルトランスフォーメーションにはデジタルリスクマネージメントが必須」だと強調した。
Dell Technologiesは、これまで「グループ各社の緩やかな連合」といった形で運営されていたが、2019年辺りから一体化/統合強化に向けた取り組みが目立つようになってきた。RSAに関しては、貴島氏が振り返った通り、ここ数年はあまり積極的な情報発信が行われていた印象はなかったが、そうした状況が変わりつつあるということかもしれない。