最近では、新型コロナウイルスの影響で企業や消費者の活動が停止、停滞していることや、物理的な職場が閉鎖されたことで、多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速を迫られているとする考察や事例報告が出てきている。DXはこれまで主に、ITを活用して業界破壊を進めるスタートアップなどの競争上の脅威に晒されている企業でしか見られなかった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大は、あらゆる企業にDXを迫ることになるかもしれない。
提供:Joe McKendrick
IDCは、1月には2020年の世界のIT支出は5.1%増加すると予想していたが、最新の予想では、パンデミックの影響でIT支出が2.7%減少するとしている。それでも、依然としてプラス成長が見込まれている分野が2つある。インフラ支出(5.3%増)とソフトウェア投資(1.7%増)だ。IDCによれば、この成長は、リモートワークとコラボレーションを支えるソリューションに対する需要によるものだという。
新型コロナウイルスの危機が、どれだけDXを加速するかを予想できるデータはまだない。しかし、OpsRampがITマネージャー137人を対象として行った最新の調査によれば、DXは最近になって企業の優先事項の1つになっているという。このことは、IT予算の減少を緩和する働きをするかもしれない。調査対象となった(主に運用とDevOpsが専門の)ITマネージャーの73%は、新型コロナウイルスの危機によって、DXの取り組みが加速するか継続すると予想している。 レポートの著者は、「デジタル的な製品やサービスは、今回起こっている前代未聞の経済の減速に対処し、顧客からの信頼の基礎を築き、事態が正常に戻るまで顧客のロイヤルティを維持するために役立つ」と述べている。
OpsRampの調査は4月の初めに実施されたものだが、その調査結果は、DXの急速な加速によって、今後数週間から数カ月間にわたって、一部の分野で投資が進む可能性があることを示している。回答者の過半数である58%が、年間IT予算の「大幅な」あるいは「適度な」増加を予想している一方で、「大幅な」あるいは「適度な」減少を予想していたのは38%だった。