調査

野村総合研究所、2026年度までの情報通信・メディア市場を展望

NO BUDGET

2020-12-18 13:16

 野村総合研究所(NRI)は、2026年度までの国内市場および一部の国際市場における情報通信・メディア市場の動向分析と市場規模の予測を行った。メディア市場については、デバイス/ネットワーク/コンテンツ配信/xTech(B2C)/xTech(B2B)の主要5市場を取り上げている。

日本における5G対応端末の販売台数の推移と予測
日本における5G対応端末の販売台数の推移と予測
日本における4k・8kテレビの保有世帯数予測
日本における4k・8kテレビの保有世帯数予測

 デバイス市場では、新型コロナウイルス感染症の影響はありつつも、5G(第5世代移動体通信)サービスやDX(デジタル変革)で伸びも期待される、としている。日本における5Gの商用化サービスは2020年3月から開始されたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言や東京オリンピック・パラリンピックの延期に伴い、当初想定よりも普及はしていない。ミドルレンジ以下の価格帯における中国系メーカーの製品拡充が主要因となり、2026年度には国内の5G端末は3200万台程度まで拡大する見込みという。

 また超高精細(4K・8K)テレビは在宅時間の増加、特別定額給付金の受給に加え、新機種の発売、旧モデルの大幅な値下げなどもあり、結果的にコロナ禍においても需要は拡大している。2021年度は東京オリンピック・パラリンピックの開催が需要を後押しすると考えられ、2026年度の保有世帯はベースシナリオで2757万世帯に拡大する見込みという。

日本における固定ブロードバンド回線加入件数予測
日本における固定ブロードバンド回線加入件数予測
日本におけるローカル5G市場規模予測
日本におけるローカル5G市場規模予測

 ネットワーク市場では、「ウィズコロナ状態」が続くことで、デジタルを中心に消費者の行動が定着し、インターネット回線の速度の安定性、セキュリティがますます重視されるようになるとしている。固定ブロードバンド回線加入件数は、2026年度には約4090万件と予測され、ローカル5G市場においては、ネットワーク機器が高価なため中小企業にまで広く浸透することが難しいという課題があり、2026年度の市場規模は180億円程度としている。

 
日本における動画配信市場規模予測
日本における動画配信市場規模予測
日本における動画投稿、ライブ配信市場規模予測
日本における動画投稿、ライブ配信市場規模予測

 コンテンツ配信市場では、通信の高速化(固定ブロードバンドやモバイルブロードバンド)や高性能なデジタル機器の登場、AI(人工知能)やクラウドなどの技術活用が進展しているとした。在宅で楽しめる「巣ごもり消費」の一つとして動画配信の人気が高まったことに加え、コロナ禍を機に拡大した動画配信サービスの継続利用意向は高く、コロナ禍終息後も利用者が一定程度定着すると考えられるという。

 こうしたことを背景に、2026年度の動画配信市場は3200億円超に成長すると見込まれる。また消費者や企業がライブ配信できるライブ配信サービスは、サービス利用者の拡大、顧客単価の上昇、広告料の増大を背景に、2026年度には約1兆900億円まで拡大すると予測されるという。

日本におけるオムニチャネルコマース市場、BtoC EC市場規模予測
日本におけるオムニチャネルコマース市場、BtoC EC市場規模予測
日本におけるスマートペイメント市場規模予測
日本におけるスマートペイメント市場規模予測

 xTech(B2C)市場ではxTech(B2C)事業者は業界の変革の担い手から、より信頼が求められる存在になるとしている。オムニチャネルコマース市場は、2020年はコロナ禍により、旅行、外食、理美容などのサービス需要が一時的に大きく落ち込んだが、反面、コロナ禍は消費行動のオンラインシフトという大きなトレンドを後押しすることとなり、2026年度の市場規模は80兆9000億円へと拡大すると予測されるという。

 スマートペイメント市場は、店舗側のデジタル技術導入が進むことで、スマートペイメントが普及すると考えられ、147兆8000億円まで拡大する見込みとしている。

日本におけるファクトリーIoTの市場規模予測
日本におけるファクトリーIoTの市場規模予測

 xTech(B2B)市場はコロナ禍で企業が積極的にデジタルテクノロジーを導入しており、例えば工場では、現地に訪問することなく作業を実施できる遠隔監視・制御やVR(仮想現実)が、対面接客の現場では人手不足に対応するための自動化など、さまざまなソリューションの導入が進む萌芽事例が多く見られるとした。ファクトリーIoT市場は、サプライチェーンの見直し策としてAR(拡張現実)やセンシング技術を搭載した生産設備が拡大することで、2026年には市場規模が1兆1000億円を超えると予測されるという。

 

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