テラスカイは4月16日、2021年2月期決算の説明会を開催した。売上高は前年同期比19.8%増の111億4400万円、営業利益は7.5%増の7億7900万円の増収増益だった。2022年2月期は売上高が18.1%増の131億5900万円、営業利益が31.2%減の5億3600万円の増収減益を見込む。代表取締役社長の佐藤秀哉氏は、「拡大が続くクラウド領域への投資を継続することで売上高を引き続き伸ばす」と説明した。
テラスカイ 代表取締役社長の佐藤秀哉氏
15日に発表した2021年2月期の決算は、コロナ禍でも大手顧客を中心とするデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みでのクラウド採用がおう盛だったことから、計画比でも約3%増と好調だった。佐藤氏は、IDC Japanによる2020~2025年のパブリッククラウド市場の年間平均成長率が19.8%との予想や、同社のクラウドインテグレーション事業の中心となるSaleforce.comおよびAmazon Web Services(AWS)の売上高拡大が継続している状況を引用してクラウド市場がまだ成長の途上にあり、同社事業が今後も拡大していくとの見方を示した。
セグメント別の売上高は、クラウドインテグレーション事業が25.8%増の95億7900万円、グループウェア「mitoco」などの製品事業が7.1%減の15億7000万円。同営業利益はクラウドインテグレーション事業が28.7%増の15億2700万円、製品事業が41.2%減の1億5800万円だった。製品事業の減収減益は、直近における大手顧客での初期導入開発に伴う売り上げが一段落した影響とする一方、サブスクリプションの売り上げが約25%増の11億1500万円に達した。
2021年2月期決算での売上構成の状況(テラスカイ決算説明資料より)
セグメント別の2022年2月期の売り上げ予想は、クラウドインテグレーション事業で19.4%増の114億4600万円、製品事業で9.1%増の17億1300万円を見込む。特に製品事業は、サブスクリプションの売り上げで約35%増の15億900万円を見込んでいる。ストック型ビジネスへの転換による安定的な利益増への貢献が期待されたが、同社の株価は決算発表後に急落した。
2022年2月期は投資強化のため増収減益を見込む(テラスカイ決算説明資料より)
これについて佐藤氏は、「売上高ではベンチャー企業の模範的な成長カーブを描き続けられていると自負しているが、(増収減益を予想する2022年2月期業績に対する株式市場の)評価は厳しいものだったと受け止めている」とコメント。増収減益との予想については、「拡大し続けるクラウド市場への投資を今後も強化し売上高を伸ばしていきたいと考えている。ここで投資の手を緩めれば利益に跳ね返るが、いま投資の手を緩めてしまえば、成長が続くクラウド市場での将来的における成果は見込めない」と述べた。
主な投資活動では、2019年に量子コンピューター関連事業のQuemix、2021年1月にGoogle Cloud関連のサービスを専門的に手がける「リベルスカイ」、2月にエンジニアの育成と派遣と手がける「テラスカイ・テクノロジーズ」を設立。同社ではSaleforce.comやAWS関連ビジネスに続き、Microsoft AzureやGoogle Cloud関連ビジネスの拡大を戦略に掲げる。また、国内でIT人材が慢性的に不足し、かつ、非IT企業におけるシステム開発の内製化の動きも拡大しているとして、テラスカイ・テクノロジーズでは新卒・第2新卒や若手のIT未経験人材を採用、育成してテラスカイのグループ各社や顧客企業に派遣する事業を5月から展開する。
テラスカイグループ各社の事業領域(テラスカイ決算説明資料より)
佐藤氏は、Quemixやリベルスカイ、テラスカイ・テクノロジーズが先行投資の段階にあるとし、2022年2月期以降も出資を含めこうした投資活動を強化していく方針を表明した。2021年2月期は協業するサーバーワークスの株式売却で約28億円の特別利益も計上しており、佐藤氏はこれも出資や新会社設立、製品開発などの原資に充てるとした。