クラウドインテグレーターとして注目されるテラスカイが、デジタルトランスフォーメーション(DX)支援をはじめ、海外進出、独自製品の展開、量子コンピューターの研究といった新たな事業にも力を入れ始めた。果たして、その目論見とは何か。「尖ったエンジニア集団でありたい」と言う代表取締役社長の佐藤秀哉氏に話を聞いた(写真1)。
テラスカイ 代表取締役社長の佐藤秀哉氏
ビジネスは好調だがエンジニア不足に打開策見えず
「私たちはインテグレーターとして、日本でもまだまだ事業を伸ばせると思っているが、海外で成長著しい魅力的な市場があるならば、ぜひ進出したい。そう考えてここ2年ほど検討してきた結果、東南アジア地域にフォーカスし、その拠点としてタイに現地法人を設けて事業をスタートさせた」――。
テラスカイは2019年12月、タイでクラウドインテグレーション事業を始めた。海外では、2012年から米国で一部の製品事業を行っているが、主力事業を現地で展開するのはタイが初になる。
今回、佐藤氏にインタビュー取材を申し入れたのは、この動きがきっかけだった。まずは、この点についての経営トップとしての思いを聞いたところ、上記のコメントが返ってきた。
この東南アジア地域への進出をはじめ、同社はこのところ、独自製品の展開や量子コンピューターの研究といった新たな事業にも力を入れている。
ただ、やはりテラスカイといえば、クラウドインテグレーション事業が主力なので、まずは佐藤氏の説明を基に同事業の状況を見ていこう。
全売上高(2020年2月期見込みで約90億円)の8割を占める同事業の内訳は、Salesforce関連が7割、Amazon Web Services(AWS)関連が3割で、合わせてこれまで4000件を超える導入実績がある。その内容も業種業態や企業規模を問わず、大手では各業界を代表する企業が名を連ねている。
佐藤氏によると、同事業は活況を呈しており、引き合いの多さに対応し切れず、新しい仕事に取りかかれない状態が続いているという。
その理由は、エンジニア不足だ。同氏は、「さまざまな手立てを使ってエンジニアを募集しているが、目算とはほど遠く確保できない状態が続いている。私の感触では、これからの3年間も仕事は潤沢にあるものの、エンジニアをきちんと確保できるかどうかが、ビジネスの成長のカギを握る」と窮状を訴えた。今回、このインタビュー取材に応じたのも、何とか人材確保につなげたいとの思いがあるようだ。